鹿児島県十島村のトカラ列島近海で、群発地震活動が活発化しています。6月21日明け方から続くこの地震活動は、30日までの10日間で体に感じる震度1以上の地震が688回に達し、7月1日には累計回数が700回を超えました。特に強い揺れも観測されており、地域の住民は警戒を強めています。
トカラ列島の風景、群発地震が続く地域の島の様子
活動の現状と詳細
一連の地震活動は、小宝島付近を震源としています。6月21日から30日までの10日間で発生した震度1以上の地震は合計688回でした。この期間中で最も大きな揺れは、30日午後6時33分に観測された震度5弱です。他にも、震度4を10回、震度3を42回記録するなど、比較的に強い揺れも頻繁に発生しています。
トカラ列島近海で発生した震度1以上の地震回数グラフ、地震活動の推移を示す
トカラ列島とはどんな場所か
トカラ列島は、鹿児島県十島(としま)村の別称であり、九州南部の屋久島と奄美大島の間、南北約160キロメートルにわたってほぼ一直線状に点在する島々の総称です。有人島が7島、無人島が5島あります。その名の由来については、沖縄・奄美地方で沖の海原を意味する「トハラ」や、アイヌ語で乳房を意味する「トカプ」、宝島の「タカラ」から派生したなど、様々な説があります。
鹿児島県十島村に位置するトカラ列島の地図、南北に連なる島々
地震の原因と過去の活動
トカラ列島を含む九州地方が位置する陸側プレートの下には、南東側からフィリピン海プレートが沈み込んでいます。このプレート境界では複雑なひずみが生じやすく、特に小宝島付近は、地質構造の特性から群発地震が時々発生する地域として知られています。近年では、2021年12月に震度1以上を308回(最大震度5強)、2023年9月には346回(最大震度4)の群発地震が発生しています。今回の活動は、過去の群発地震と比較しても、より速いペースで地震が発生しています。
今後の見通しと注意喚起
過去には、群発地震が1カ月程度にわたって継続した事例もあります。福岡管区気象台は、今回のトカラ列島近海の地震活動について、「当分の間、今回と同程度の地震が発生する可能性がある」として、引き続き注意するよう呼び掛けています。揺れの強かった地域では、落石や崖崩れなどの危険が高まっている場所もあるため、注意が必要です。
資料
- 福岡管区気象台「令和7年6月21日からのトカラ列島近海(子宝島付近)の地震活動について(第8号)」
- 気象庁「地震情報」