2022年から2023年にかけて、「ルフィ」などを名乗る指示役による連続強盗事件が日本各地で発生しました。8件の強盗事件を引き起こし、中には東京都狛江市で死亡者も出しています。これらの事件は、フィリピンを拠点とし、数十億円規模の被害を生み出した特殊詐欺グループが指示していたとされています。人気漫画の主人公から取られた「ルフィ」という印象的な呼び名から大きな話題を呼び、これまでに40名以上の実行役が逮捕されています。一方、事件の指示役、すなわち幹部とされているのは渡辺優樹、藤田聖也、今村麿人、そして小島智信(47)の4被告です。この度、幹部の中では初めて、小島被告の公判が7月1日に東京地裁で開始されました。
検察の冒頭陳述によれば、小島被告は東京都稲城市などで発生した3件の強盗事件と特殊詐欺に関与したとして起訴されています。彼はグループ内で実行犯を集めるリクルーター役、また、資金管理を行う金庫番を務めていたとされています。小島被告は、暗号資産への投資失敗で多額の借金を抱え、フィリピンへ渡航しました。そこで渡辺被告と出会い、借金を肩代わりしてもらうなどの経緯を経て、特殊詐欺グループに加わることになったとされています。
デイリー新潮は、事件発覚当時からマニラでの現地取材を進め、小島被告のフィリピンでの生活実態を詳しく報じてきました。犯罪で得た収益を使い、彼は連日マニラの歓楽街で豪遊していたと言います。過去の記事を再録し、希代の詐欺グループ幹部の実像に迫ります。
マニラ歓楽街での派手な遊興
小島被告らは、2019年11月にフィリピンの特殊詐欺拠点が摘発されるまで、マニラ・マカティ地区の日本人街で夜な夜な派手な遊びを繰り返していました。この地域には、日本でいうフィリピンパブのようなカラオケ店が軒を連ねています。
連続強盗事件 ルフィ事件の指示役 小島智信被告
あるカラオケ店関係者は、当時の様子を振り返り、「渡辺も見かけたが、断然目立っていたのが小島だった。2〜3週間ほどだが、私たちの店にも毎日来ていた」と証言しています。彼らの飲み方は非常に派手だったと言います。
「7、8人で来て、8000ペソ(当時のレートで約2万円)もする高価なボトルを次々と開けていた。一晩で20〜30万円は使っていたと思う。金持ちの客は他にもいたが、彼らは若かったので特に目立っていた。社長にはとても見えず、半グレのような連中だと思っていた」と関係者は語ります。
ありがたい上客ではありましたが、その飲み方や態度からトラブルになることもあったようです。
店でのトラブルと「バック」示唆
関係者によると、ある時、小島被告が店にいた女性を店外に連れ出したいと大声で要求し、騒ぎになったといいます。フィリピンのカラオケ店では、店員の店外への連れ出しを禁じている店が多いです。「そういう遊びは他の店でやってほしい」と注意しても、小島被告は「こんなに大金を使っているんだからいいだろう」と引き下がりませんでした。しまいには、「俺たちにはバックもついているんだぞ」と関係者に対して凄んで見せたとのことです。
今回の公判開始により、小島被告の詐欺グループ内での役割や、フィリピンでの実態について、更なる詳細が明らかになる可能性があります。社会的に大きな影響を与えた一連の事件の全容解明に向けて、幹部クラスの裁判の行方が注目されます。