梅雨から夏にかけて、高温多湿の環境を好むダニが爆発的に繁殖する季節です。家にダニがいると思うと不快なだけでなく、特に喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を持つ方にとっては、ダニのフンや死骸が症状を悪化させる深刻な原因となります。専門家は、ダニが繁殖しやすい家には特定の「特徴」があると指摘します。
家に生息する主なダニの種類
日本国内の家の中に主に見られるダニは、大きく分けてチリダニ(ヒョウヒダニ)とツメダニの2種類です。これらはアレルギーや刺咬といった異なる問題を引き起こします。
チリダニ:アレルギーの主な原因
体長わずか0.3〜0.5mmのチリダニは、肉眼ではほとんど見えません。家のホコリがたまりやすい場所に潜み、人のフケ、アカ、髪の毛、食べかすなどをエサとしています。このチリダニのフンや死骸の一部が、アレルギー性鼻炎、結膜炎、さらには喘息やアトピー性皮膚炎といったアレルギー症状の主要な原因(アレルゲン)となるのです。
アレルギーの原因となるチリダニの顕微鏡写真
ツメダニ:人を刺すやっかい者
一方、ツメダニは体長0.3〜0.8mmで、主に寝具やカーペットに生息します。チリダニよりも数は少ないですが、なんとチリダニを捕食します。そして、人間を刺してかゆみを引き起こすのは、このツメダニであることが多いのです。
ダニの驚異的な繁殖力と好む環境
ダスキン開発研究所の基礎研究室室長である荻野文敏氏によると、メスのダニ1匹は生涯で約100個の卵を産む能力があります。この驚異的な繁殖力により、ダニは爆発的に数を増やします。卵から成虫になるまで約1カ月、成虫の生存期間は約3カ月です。
日本では、湿度が高くなる梅雨時からダニが増え始め、夏期の7月下旬から9月上旬にかけてその数はピークを迎えます。荻野氏は、ダニが発生しやすい環境条件として、「室温20〜30℃、湿度60〜80%の高温多湿な、人が『蒸し暑い』と感じる場所」を挙げます。
特に、布団やベッド、クローゼット、カーペットなど、布製品や衣類が多く、「暗くて潜り込める場所」はダニにとって格好の繁殖環境となります。
これらの専門家の知見から、ダニの繁殖は特定の環境要因に強く依存していることがわかります。高温多湿で、フケやホコリが溜まりやすい布製品の多い場所は、ダニにとって理想的な「家」となるのです。夏に向けてダニの活動が活発になるこの時期、ご自宅の環境を見直すことが、アレルギー対策や快適な生活空間維持のために非常に重要となります。
参照元
- Yahoo!ニュース (東洋経済オンライン)