25年以上にわたり多くの読者に選ばれ続ける大学案内『大学図鑑!』の最新版が今年も発売されました。現役生やOB・OGら5000人を超える生の声をもとに作られた本書は、他の大学選びの手段として高い評価を得ています。本記事では、『大学図鑑!2026』の内容の一部を抜粋し、九州大学の知られざる学生生活や就職事情に迫ります。
九州大学の学生生活とは?リアルな声から見る九大生の特徴
九州大学は、一般的に地味で真面目な印象を持たれがちです。一見朴訥としていますが、高偏差値大学の学生としてのプライドを、エリートらしい鷹揚さの裏に秘めていると言われます。学生の構成を見ると、九州地方や山口県といった比較的田舎の出身者が非常に多いのが特徴です。
地元九州での知名度は抜群で、近所の人からは「親孝行したね」と言われるほどです。しかし、福岡市の中心部である天神のような繁華街では、私立の西南学院大学の学生の方が明るく社交的で、異性にモテるという説もあります。全国的に知られる旧帝大の一つですが、学生の4分の3以上が九州出身者であり、名古屋大学と並んで「超ローカル大学」とも呼ばれる所以です。
九大生はオンとオフの切り替えが上手く、何かに没頭する人が多い傾向にあります。「ふざけ方を知らない田舎の純朴な青年みたい」「きちんと育てられてきた人が多い」と、学生自身も自己評価は真面目です。広範囲に及ぶ伊都キャンパスでの移動や、課外活動のために原付免許は必需品とされており、「車の免許は早めに取った方が良い。みんなで遊ぶ時に車を借りてドライブすることが多い」という法学部生の声からも、学生生活での移動手段の重要性がうかがえます。
かつて「いも九」と揶揄されたほどファッションが地味だった時代からは変化が見られますが、伊都キャンパスのイーストゾーンからウエストゾーンへ行くにつれて「地味度は上がっていく」とされ、「パーカーかジャージが工学部の制服」という工学部生の声があるように、学部によっては実用性重視の傾向が強いようです。
『大学図鑑!』が捉えた九州大学の学生生活の雰囲気
九大生の就職事情:地元での強さと東京での立ち位置
九州大学の学生は、就職活動に対してそれほどガツガツしていないと言われます。これは、地元残留率が高く、理系学生が多いことに加え、景気に左右されず地元企業からの引き手が多いことが背景にあります。
福岡銀行、西日本シティ銀行、九州電力、九電工、JR九州、西日本鉄道など、地元の有力企業には九大生が「とりあえず受ける」という感覚で応募し、多くの学生が一定の結果を出しています。文系学部、特に法学部と経済学部は地元大手企業とのパイプが太いとされています。また、県庁は九大生にとってエリートコースと見なされており、近年は公務員志望者が増加傾向にあります。大学が開催する公務員試験対策講座は人気がありますが、「スケジュールはかなりハード」との声もあります。
ただし、九州域内では「無双」と言われる九大生も、東京での就職活動では絶対的な存在とは言えないようです。「九大と早稲田なら早稲田に負ける気がする」という法学部生の声からは、首都圏の有力大学との競争も意識していることがわかります。さらに、「やりがいや収入面で東京の会社に魅力を感じるが、九州に残りたい気持ちや親の意見もあり揺れている」と、地元就職か東京でのキャリアかの間で悩む学生も少なくない実情がうかがえます。
九州大学は、その地域性の強さと旧帝大としてのブランド力により、地元では盤石な就職力を誇ります。一方で、学生たちは自身のキャリアパスについて、地元での安定と首都圏での挑戦の間で現実的な選択に直面しています。『大学図鑑!』に寄せられた学生たちの生の声からは、九大生の多面的な姿と、彼らが抱える将来への期待や葛藤が鮮明に浮かび上がります。
出典: https://news.yahoo.co.jp/articles/927898f8dce034fa629ba6fe6ff6d5e36796a681