「9歳の壁」の正体は?専門家が語る「読み書き」の重要性

日本の教育現場でよく聞かれる「9歳の壁」、または「小4の壁」。小学4年生頃から学習につまずく子どもが増える現象です。この壁の「正体」について、25年間で5000名以上のバイリンガルを育成した専門家、TLC for Kids代表の船津徹氏は、「読み書き能力の不足」だと語ります。親が気づきにくいこの問題が、子どもの学力にどう影響するのか、詳しく見ていきましょう。

小学4年生頃の子供が机で読み書き学習をしており、親が隣で見守る様子。「9歳の壁」対策となる家庭学習のイメージ。小学4年生頃の子供が机で読み書き学習をしており、親が隣で見守る様子。「9歳の壁」対策となる家庭学習のイメージ。

「9歳の壁」の原因は会話力ではなく「読み書き不足」

共感者気質の子どもなど、口が達者で語彙も豊富な子どもは多くいます。しかし、会話力があることと、学習に必要な「読み書き」の能力は別問題です。親が家庭での読み書きサポートを怠ると、学力向上に繋がりにくいのです。

わかりやすい例が、日英バイリンガルの子どもたちです。流ちょうな英会話能力を持っていても、英語を使ってアカデミックな勉強をするのが苦手なケースがよく見られます。これは多くの場合、親が英語の読み書きを家庭で十分に教えられないためです。

同様に、日本の「9歳の壁」「小4の壁」も、「読み書き教育の欠如」が根本原因です。学校の授業は教科書を読んで内容を理解することを前提としています。読み書きの基礎が十分にできていないと、学年が上がり学習内容が高度になるにつれて、授業についていけなくなります。

「9歳の壁」を越えるには、家庭での日本語「読み書き」サポートが不可欠。学校だけでは、十分な読み書き能力は身につきません。

子どもの「強み」を育むことの重要性

子どもたちが予測困難な社会で自分らしく幸せに生きていくためには、失敗や挫折を乗り越える「たくましさ」が必要です。これは家柄や遺伝ではなく、「子どもの潜在的な強みを引き出すこと」で育つと船津氏は断言します。

子育てでは「強み育て」が最優先。「強み」は学業、音楽、スポーツ何でも良く、習い事は強みを育む絶好の機会です。適切な習い事選びが「子育て成功」に直結します。

著書『「強み」を生み出す育て方』では、この考えに基づき、子どもの気質を診断し、タイプ別の学力の伸ばし方や習い事選びを具体的に解説しています。

結論:読み書き能力の定着と「強み育て」が鍵

「9歳の壁」は多くの子供が直面する課題ですが、その鍵は学力以前の「読み書き能力」にあるという専門家の指摘は重要です。学校教育に加え、家庭での読み書きサポートを強化すること、そして子どもの「強み」を見つけて育む視点を持つことが、子供たちが将来を切り拓く力となるでしょう。

Source: https://news.yahoo.co.jp/articles/2ac3a18f70d7e4769169bea8c9564ec4ee734f82