プロ麻雀リーグ「Mリーグ」の登場により、麻雀のイメージは近年大きく変化し、ファン層も拡大しています。しかし、麻雀には依然として“お金を賭けるもの”という根強いイメージも残っており、その最たるものが「マンション麻雀」と呼ばれるものです。これは、マンションの一室で秘密裏に行われる超高レートの違法賭博です。その実態は謎に包まれていますが、『ルポ マンション麻雀』の著者であり、長年その現場に出入りした福地誠氏に、賭け麻雀の真実を聞きました。
「マンション麻雀」とは?知られざるその実態
マンション麻雀とは、営業許可を得ていない違法な雀荘であり、高レートで賭け麻雀を行いたい人々が集まる場所です。一般的なフリー雀荘とは異なり、人づての紹介や誘いがないと入ることはできません。現場では、数千円相当の高級弁当や寿司などが無料で提供されることもあり、飲食サービスも充実しています。これは、超高額な場代や手数料が収益の柱となっているためです。
マンション麻雀が行われる部屋の待合スペース。隠れて行われる違法賭博の雰囲気を伝える写真。
違法賭博の歴史と現在の変化
マンション麻雀は、漫画「むこうぶち」でも描かれたように、特にバブル期から脈々と続いてきた文化です。しかし、福地氏によれば、その数は現在激減しており、ほとんど存在しないと言います。これは、スマートフォンの普及とLINEなどの連絡ツールの影響が大きいためです。参加者同士が個人的に集まって麻雀をすれば場代がかからず、また運営側も物理的な場所を持つことによる摘発リスクを避けることができるからです。
運営と参加者のリスク、そして関係者
マンション麻雀のような違法賭博の現場が摘発された場合、参加者は単純賭博罪に問われる可能性がありますが、より重い罪となるのは賭博場開帳図利罪に問われる運営側です。そのため、運営者は特に摘発リスクを恐れます。福地氏自身は、6年間出入りした中で一度も逮捕やニアミスはありませんでした。また、違法雀荘には反社会的勢力が関わっているイメージがあるかもしれませんが、福地氏が見た限りでは、フリー雀荘の関係者が運営していたり、いわゆるヤクザのような人物を見かけることはなかったと述べています。
違法なマンション麻雀店が摘発された際に現場に残された「警視庁」ロゴ入りの段ボール。摘発リスクの現実を示す。
かつて賭け麻雀文化の一端を担っていたマンション麻雀ですが、テクノロジーの進化と摘発リスクの高まりにより、その形態は変化し、今や姿を消しつつあります。福地氏のルポは、このような隠された世界の現実を浮き彫りにしています。