れいわ新選組の山本太郎代表が、「外国人犯罪の中で最も多いのは米兵である」と発言し、SNS上で大きな議論を呼んでいます。この主張は、日本の治安や外国人政策に関わる重要な論点ですが、警察庁の最新統計「警察白書」によると、この発言は事実と異なることが判明しています。本記事では、山本代表の発言背景を検証し、客観的なデータに基づきその真偽を明らかにします。
山本太郎氏の発言とその波紋
2025年7月17日、れいわ新選組の山本太郎代表は、池袋での街頭演説において「外国人犯罪が多くなってるって言ってるけど、一番外国人犯罪の中で多いのなんやねん、といったら米兵じゃねぇかよ」と発言しました。この発言を収めた動画は、れいわ新選組の公式X(旧Twitter)アカウントでも同日に投稿され、短期間で1400件以上のリポスト、24.8万回以上の表示を記録しました。この投稿は賛同の声がある一方で、「デマ」「誤報」との指摘も相次ぎ、インターネット上で大きな波紋を広げ、政治家の発言としての正確性が問われる状況となっています。
れいわ新選組の山本太郎代表が、外国人犯罪に関する発言をする演説風景。
警察庁「警察白書」が示す外国人犯罪データの実態
山本代表の発言の真偽を客観的に確認するため、警察庁が毎年公開している「警察白書」の最新版(2024年版)を参照します。この白書は、日本国内の犯罪に関する信頼性の高い包括的な統計データを提供しています。
2023年の刑法犯における来日外国人(米軍関係者を除く)の検挙総数は1万40件です。国籍別の内訳では、ベトナム国籍が4082件(全体の40.7%)で最も多く、次いで中国国籍1932件(19.2%)、ブラジル国籍467件(4.7%)、フィリピン国籍403件(4.0%)と続きます。
また、特別法犯(覚醒剤取締法違反など)の来日外国人の検挙数は8048件でした。こちらもベトナム国籍が3868件(48.1%)で最多、中国国籍1048件(13.0%)、タイ国籍644件(8.0%)、フィリピン国籍340件(4.2%)と続きます。
一方、2023年の米軍関係者の刑法犯検挙数はわずか118件に留まります。この数値は、ベトナムや中国をはじめとする上位国籍と比較して格段に少なく、「外国人犯罪で最も多いのが米兵」という山本代表の発言が、警察庁の公式データと明確に矛盾していることが明らかです。客観的データに基づく正確な情報理解は、社会的な議論において極めて重要です。
結論
山本太郎代表の発言は、警察庁の公式データに照らし合わせると、事実と異なることが明らかになりました。客観的な統計は、外国人犯罪において米軍関係者が最多ではないことを明確に示しています。社会における情報発信には、正確な根拠が不可欠であり、誤解を招く情報の拡散は避けるべきです。
参考資料
- 警察庁:2024年警察白書 統計資料(来日外国人の主な国籍別検挙状況の推移)