政府、太陽光パネルのリサイクル義務化を断念か?NGOが緊急抗議 – 廃棄物問題深刻化への懸念

浅尾慶一郎環境相は8月29日、政府がこれまで検討してきた法律案における太陽光パネルのリサイクル義務化を断念すると表明しました。この発表を受け、複数の環境団体が直ちに抗議の声を上げています。太陽光パネルの廃棄量は、FIT(固定価格買取制度)初期の買取期間が終了する2030年代前半に急増すると予測されており、再生可能エネルギー導入拡大の大きな阻害要因となる可能性が指摘されています。

「拡大生産者責任」の原則と政府の断念理由

国際環境NGO 350.org Japan、国際環境NGO FoE Japan、WWFジャパンなどの複数の環境団体は共同で、日本政府に対し強い懸議を示しました。政府が当初検討していた法律案では、太陽光パネルのリサイクルを義務化し、製造業者(海外製造分は輸入業者)に対して、新設分だけでなく既存分も含め、製造量に応じた費用負担を求める内容でした。これは、製品の製造者が廃棄後のリサイクル処理まで責任を持つという「拡大生産者責任(EPR)」の考え方を採用したものです。

しかし、内閣法制局から、太陽光パネルのリサイクル費用を製造業者らが負担する方針が他のリサイクル関連法と齟齬(そご)するという意見が出されたと報じられています。政府は代替案として、リサイクルについての報告義務化や努力義務化などを検討する動きを見せていますが、環境団体は共同声明の中で、「リサイクル義務化と比べてどこまで実効性が担保されるかは不明」であると指摘し、その効果に疑問を呈しています。

廃棄が懸念される大量の太陽光パネル廃棄が懸念される大量の太陽光パネル

迫る廃棄物急増の危機:2030年代前半に向けた「緊急の課題」

現在、使用済み太陽光パネルの放置は各地でトラブルの原因となっており、その問題は日増しに深刻化しています。特にFIT制度初期の買取期間が終了する2030年代前半には、太陽光パネルの廃棄が爆発的に増加することが見込まれており、2040年頃には年間40万トン規模に達する可能性も指摘されています。このような状況下で、既存分を含めたリサイクルの義務化は、喫緊の課題として認識されています。

昨年12月には、石破総理大臣が循環経済に関する関係閣僚会議で「再生材利用の拡大や、環境配慮設計の推進、太陽光パネルリサイクルの促進のための法整備について、国会提出に向けた作業を加速」するよう求めていました。また、今年2月に閣議決定されたばかりの第7次エネルギー基本計画においても、義務的リサイクルの検討を進める方針が明記されています。政府のこれらの取り組み姿勢にもかかわらず、リサイクル義務化の断念は、多くの関係者に戸惑いと懸念を広げています。「他のリサイクル関連法と齟齬する」という内閣法制局の指摘に対しては、拡大生産者責任の重要性が増す現代において、新法を制定し制度的枠組みを刷新することは何ら問題がないとする意見も強く出ています。

リサイクル義務化の重要性と環境団体からの強い要請

代替案として検討されている報告義務化や努力義務化では、その実効性が不明確であると環境団体は批判しています。現時点でも太陽光パネルのリサイクル自体は技術的に可能ですが、製造者にリサイクルを義務付けることで、よりリサイクルしやすい製品設計へのインセンティブが働き、結果的にリサイクルにかかるコストの低減も期待できます。義務化され大規模なリサイクル体制が確立されれば、スケールメリットにより費用効率が高まる可能性があるのです。逆に義務化がなければ、リサイクル費用は高止まりし、実際のリサイクルがあまり進まない事態が懸念されます。

気候危機が深刻化する中、持続可能で公正な再生可能エネルギーの導入加速は不可欠です。化石燃料や核廃棄物を生み出す原子力に代わる選択肢として、太陽光発電の役割は大きいと言えます。しかし、太陽光パネルのリサイクル義務化が遅れることは、廃棄物問題への懸念を深めるだけでなく、再生可能エネルギー導入拡大の大きな阻害要因となるでしょう。環境団体は共同声明において、政府に対し、次期臨時国会での拡大生産者責任を前提とした太陽光パネルのリサイクル義務化法案の提出を強く求めています。

太陽光パネルのリサイクル義務化を求める環境団体による共同声明文太陽光パネルのリサイクル義務化を求める環境団体による共同声明文

参照資料

  • 原子力資料情報室
  • 国際環境NGO 350.org Japan
  • 自然エネルギー100%プラットフォーム
  • 国際環境NGOグリーンピース・ジャパン
  • 国際環境NGO FoE Japan
  • WWFジャパン
  • 気候ネットワーク
  • 環境エネルギー政策研究所
  • 市民電力連絡会
    (上記団体による共同声明、2025年8月29日付)