プーチン大統領、ウクライナ和平拒否なら「軍事的に全目的達成」を宣言:トランプ氏の停戦努力と西側諸国の支援動向

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は3日、ウクライナが和平合意に応じない場合、ロシアは全ての目的を軍事的に達成するまで戦い続けるとの強硬な姿勢を示しました。この発言は、中国・北京で行われた大規模な軍事パレード出席後の記者会見でなされ、アメリカのドナルド・トランプ大統領による停戦への働きかけや、西側諸国からのウクライナ支援強化の動きが続く中で、国際社会に大きな波紋を広げています。プーチン大統領のこの声明は、ウクライナ戦争の今後の展開と、主要国間の外交交渉の行方を占う上で極めて重要な意味を持ちます。

プーチン大統領、北京で強硬姿勢を表明

プーチン大統領は、ウクライナでの戦争が早期に終結するかとの問いに対し、「トンネルの出口にはある種の光がある」と述べ、和平の可能性を示唆しました。しかし、「常識に従うなら、この紛争を終わらせるための受け入れ可能な解決策で合意することは可能だと思う」としつつも、「そうでなければ、私たちはすべての課題を軍事的に解決しなければならない」と強調し、軍事的な目標達成への固い決意を示しました。

さらに大統領は、ロシア軍が制圧したウクライナ東部ドンバス地方をロシアが手放すことはないと断言。ウクライナに対し、北大西洋条約機構(NATO)加盟を求めないことや、ロシア民族に対する「差別」をやめることを繰り返し要求しました。この「差別」は、ウクライナ侵攻の口実の一つともなっています。また、将来の和平合意後の西側諸国による安全保障は、住民がロシアへの帰属を選択したとされるドンバス地方は対象にならないとの見解を示しました。これは、同地方で3年前に実施され、広く批判された「住民投票」を指しているとみられます。

中国・北京での記者会見でウクライナ戦争への見解を語るプーチン露大統領中国・北京での記者会見でウクライナ戦争への見解を語るプーチン露大統領

トランプ氏の停戦仲介とプーチン氏の反応

ウクライナ戦争を巡っては、トランプ氏が終結を目指し、プーチン氏の説得を試みています。プーチン大統領はトランプ氏の「真剣な願い」を称賛したものの、戦争は依然として続いています。トランプ氏は先月、アラスカにプーチン氏を招いて会談を行い、同氏を国際的な孤立状態から引き出す形となりました。トランプ氏はまた、プーチン氏に対し、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談するよう働きかけています。

これに対しプーチン大統領は3日、「私がそうした会談の可能性を否定したことはない。だが、意味があるのか? 様子を見よう」とコメント。会談には結果を出すための準備が必要だと主張し、ゼレンスキー大統領がいつでもモスクワに来て自分に会うことができると付け加えました。

ウクライナ側の反応とゼレンスキー大統領の訴え

プーチン大統領の発言について、ウクライナ外相は「受け入れられないとわかっている」案を出してきたと指摘しました。ゼレンスキー大統領はこれまで、プーチン氏が首脳会談を拒否しているとして、ロシアへの制裁とウクライナへの防衛支援を拡大するようトランプ氏に働きかけています。

トランプ氏は3日、ホワイトハウスで就任間もないポーランドのカロル・ナヴロツキ大統領と会談した際、記者団に対し、ウクライナでの戦争終結に関して「プーチン大統領に伝えることはない。彼は私の立場を知っており、何らかの決断をするだろう」と語りました。記者から、トランプ政権はロシアに対し、同国の石油を購入しているインドへの二次制裁のような重い行動を取っていないのではないかと問われると、トランプ氏はいら立った様子を見せ、「何もしていないと言うのか? 私はまだ第2段階と第3段階をやっていない」と、詳しい内容には踏み込まずに述べました。

西側諸国のウクライナ支援継続の意志

英国防相、支援強化を明言

イギリスのジョン・ヒーリー国防相は3日、キーウ訪問の際にBBCの取材に応じ、トランプ氏がプーチン氏を協議の場に引き入れたとの見方を示しました。同国防相は、プーチン氏にさらなる圧力をかけることを否定せず、イギリスなどの国々には、「プーチンに経済的な圧力をかけ、ウクライナが戦い続けられるようさらに支援する」意志があると述べました。ヒーリー国防相は、和平合意が成立すれば、イギリスなど30カ国以上が、「空を安全にし、海を安全にし、陸を安全にする手助けをする」と発言。「戦争のことを忘れてしまって、和平を危うくしてはならない。そのため、ウクライナへの軍事支援を強化している」と強調しました。

フランス、ウクライナ支援国会合を主催

一方、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は4日に、ウクライナ支援国で構成する「有志連合」の会合を主催します。仏大統領府の関係者によると、同連合は、ウクライナに安全保障を提供し、ロシアから停戦を得るために、アメリカの支援を確実にすることを望んでいるとのことです。

戦況とロシアの攻撃継続

ロシアは停戦の要請を拒否し、ウクライナの都市への攻撃を強めています。3日夜も一晩でドローン500機以上と巡航ミサイル24発を発射するなど、ウクライナ侵攻への軍事的圧力を緩めていません。

結論

プーチン大統領の最新の声明は、ウクライナ戦争が和平交渉による解決が困難な局面にあることを改めて浮き彫りにしました。トランプ氏による停戦努力や西側諸国からの継続的な支援表明があるものの、ロシアは自らの軍事目標達成に固執する姿勢を崩していません。ウクライナ側もロシアの提案を拒否し、国際社会にさらなる支援と制裁強化を求めています。この複雑な国際情勢の中で、ウクライナの未来、そして地域の安定に向けた国際社会の連携と外交努力の重要性がますます高まっています。

参考資料