トランプ大統領、ベネズエラ軍機「撃墜」警告 麻薬密売対策で緊張激化

米国のドナルド・トランプ大統領は5日、米軍に対する危害の恐れがある場合、ベネズエラ軍の戦闘機を「撃墜する」と明確に警告した。これは、米国政府が麻薬密売との戦いを掲げ、プエルトリコに高性能なF35戦闘機10機を配備するなど、カリブ海地域での軍事プレゼンスを強化している中で発せられたもので、米ベネズエラ間の緊張が一段と高まっていることを示している。

米国の対ベネズエラ圧力とF35配備

米国は、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が麻薬カルテルを率いていると非難しており、この地域の麻薬密売ルートを断つことを主要な目標としている。この戦略の一環として、すでに南カリブ海に展開している米海軍艦艇にF35戦闘機を合流させ、ベネズエラ政権への圧力を強めている。F35の配備は、米軍の監視能力と打撃能力が飛躍的に向上することを示唆し、地域の安全保障環境に大きな影響を与えている。

「極めて挑発的」な接近飛行とトランプ氏の警告

米国防総省は4日、ベネズエラ軍機2機が国際水域にいた米海軍艦艇に接近飛行したことを「極めて挑発的な行動」と強く非難した。この事態を受け、トランプ大統領はさらなる事態が起きた場合の対応について問われた際、「われわれを危険な状況に陥れるなら、撃墜することになる」と述べ、軍事行動も辞さない姿勢を示した。この発言は、米国が自国の軍事資産と人員の安全確保を最優先するとの強固なメッセージをベネズエラに送るものだ。

ドナルド・トランプ米国大統領、ベネズエラ軍機への警告を発言ドナルド・トランプ米国大統領、ベネズエラ軍機への警告を発言

麻薬密輸船爆破とマドゥロ政権への疑惑

今月2日には、米軍がカリブ海で麻薬密輸船とされる船を爆破し、乗員11人が死亡する事件が発生した。トランプ大統領は、この船がベネズエラの悪名高い犯罪組織「トレン・デ・アラグア」に属しており、マドゥロ大統領と直接的な関係があると主張している。この主張は、麻薬密売とマドゥロ政権との結びつきに関する米国の非難をさらに強化し、ベネズエラに対する国際的な圧力を増大させる狙いがあると見られる。

米国の麻薬密売対策は、ベネズエラ政権への経済的・軍事的圧力を高める重要な手段となっており、トランプ大統領の今回の「撃墜」警告は、この対立が軍事衝突に発展する可能性も示唆している。地域情勢のさらなる緊迫化が懸念される。

参考文献