就職氷河期世代、非正規でも「十分満足」な働き方を見つけるヒント:理系研究員のキャリアを追う

学校卒業時の不況で就職が困難となり、非正規雇用で働き続けるなど、様々な困難に直面してきた「就職氷河期世代」。しかし、そうした苦しい経験を糧に、「非正規であっても、十分に満足している」と感じられる働き方を見つけ、充実した日々を送る人々も存在します。この記事では、一人の女性の人生を通じて、困難な状況下でも前向きなキャリアを築くためのヒントを探ります。

静岡県にある理系研究所で非正規研究員として働く43歳の女性は、現在の状況について「様々な職場でずっと非正規として働いてきて、悩んだり泣いたりしたこともたくさんありました。でも今は、自分の状況に満足しています。これまでやってきたことは全部、無駄じゃなかったなと思うんです」と語ります。彼女は1982年生まれの、まさに就職氷河期世代。1990年代半ばから2000年代初頭にかけてのバブル崩壊後の不況の中、新卒での正社員就職が叶わず、その後も非正規雇用で職場を転々とせざるを得ないという、多くの同世代が経験した苦境に置かれてきました。

厳しい就職氷河期を乗り越え、キャリアを模索

女性が都内の私立大学の畜産科を卒業した2004年3月、初めての就職活動では十数社に挑戦しましたが、全て不採用に終わりました。大半が書類選考の段階で落とされたと言います。幸いにも、大学の研究室に1年間残ることができ、研究やアルバイトをしながら就職活動を続行。翌年には、理系研究員を派遣する会社に登録する形で社会に出ることになりました。

当時の彼女は、「非正規でも、とりあえず仕事ができるならいいか」「いつか正社員になれるかもしれない」という気持ちを抱いていたと言います。しかし、その後は様々な職場を転々とするキャリアが彼女を待っていました。

就職氷河期世代の女性研究員がPCに向かって仕事をする様子就職氷河期世代の女性研究員がPCに向かって仕事をする様子

「手に職」が拓く、非正規でも「満足」な働き方

派遣社員として約1年勤務した後、理系研究員の正社員を募集していた別の派遣会社に採用され、そこでは約3年間、正社員として働きました。しかし、正社員契約の条件であった「全国転勤可」が、結婚を機に難しくなったことで、契約社員へと雇用形態を変更することになります。

この時、彼女の支えとなったのは、「理系の研究者という『手に職』があるんだから、どこに行っても仕事はある」という考え方でした。「契約でもいいか」という、ある種の割り切った気持ちでキャリアを継続することを選んだのです。不安定な雇用形態に悩んだ時期も確かにあったものの、専門スキルを磨き続け、自身の状況を受け入れることで、現在は仕事への満足感を得ています。彼女の経験は、就職氷河期世代が直面した困難を乗り越え、自分らしい働き方を見つけるための一つの道筋を示していると言えるでしょう。

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