東京・上野動物園の双子のジャイアントパンダ、シャオシャオとレイレイが来年2月20日、中国への返還期限を迎える。すでに6月にアドベンチャーワールド(和歌山県白浜町)の4頭が返還され、この2頭が中国に行くと日本からパンダはいなくなる。しかも、日本生まれの双子のパンダ、なぜ中国に返さなければいけないのか。
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シャオシャオとレイレイが生まれたのは2021年6月23日。彼らの両親は11年2月21日に日本にやってきたリーリーとシンシンだった。都庁担当記者は言う。
「日中国交正常化により国交が結ばれた1972年、両国の友好のシンボルとして上野動物園にカンカンとランランの2頭のパンダがやってきました。パンダが公開されるや連日の大行列となり、以来、パンダは36年にわたり上野のアイドルとして大人気でした。ところが、08年4月30日にリンリンが老衰(22歳7カ月)で死んでからパンダ外交は途絶えました。リーリーとシンシンがやってくるまでの3年間にわたり、上野動物園からパンダがいなくなったのです」
上野からパンダが消えるのは、この時以来になる。ちなみに当時、上野動物園を所管する東京都の知事は石原慎太郎氏だった。
「中国をシナ(支那)と呼び続け、中国批判を繰り返したのが石原氏でした。リンリンが死んだ際の言葉も独特でした」(都庁担当記者)
08年5月2日、定例会見に現れた石原氏はリンリンについて尋ねられると……
《御神体じゃないんだから、いてもいなくてもいいんじゃないの。生きてるものは死ぬんだから。パンダだって死ぬだろうし、世界は狭くなったんだから、見たけりゃいるとこ行って見てきたらいい》
「パンダを借りる必要はない」
「その直後の5月7日に来日したのが中国の胡錦濤主席(当時)でした。福田康夫首相との夕食会で日本が求めていたパンダ2頭の貸与に応じることを明かし、パンダが久しぶりに日本にやってくることが決定したのです」(都庁担当記者)
だが、それまでのパンダ外交とは様子が違った。
「それまで上野動物園のパンダにはレンタル料がかかっていなかったのですが、他の動物園ではレンタルが主流となっており、2頭で年間100万ドルといわれていました。そのため石原都知事は『随分法外な値段だ』としつつ、『(中国側が)友情の印と言って、それでカネを取るのはどんなもんかな』『払うのは都の税金。それまでして見たいかね』と突き放しました。とはいえ、両国のトップ同士の約束ですからね、結局、東京都は中国と合意を結びました」(同前)
この時、石原知事が何を言ったかというと、
《決して安い買い物はでなく5万ドル値切った。繁殖に成功し日本製のパンダをつくってほしい》
「100万ドルから5万ドルを値切って95万ドル(約8500万円=当時)となったわけですが、その頃は尖閣諸島の問題など日中関係はよくありませんでした。そのため上野動物園には『高額なレンタル料を支払い、中国に頭を下げてまでパンダを借りる必要はない』といった抗議があったそうです」(同前)






