11月28日の衆院予算委員会で、立憲民主党の原口一博議員（66）の質疑中にヤジが飛び、その後の原口議員の反応が注目を集めています。今回の質疑は、高市早苗首相（64）による台湾情勢に関する答弁に対する中国側の反発を巡るものでした。この一連の出来事は、立憲民主党内の意見の相違を浮き彫りにする形となりました。
高市首相の答弁と中国の反発
事の発端は、11月7日の予算委員会における高市首相の答弁です。高市氏は、台湾情勢に関して「（中国が）戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても（集団的自衛権の行使が可能な）存立危機事態になりうる」と発言しました。この武力行使の可能性を示唆する答弁に対し、台湾を内政問題と捉える中国は強く反発しました。
中国大使館は11月21日、ソーシャルメディアXを通じて、《ドイツ・イタリア・日本などのファシズム／軍国主義国家が再び侵略政策に向けたいかなる行動を取った場合でも、中・仏・ソ・英・米など国連創設国は、安全保障理事会の許可を要することなく、直接軍事行動を取る権利を有する》と主張。これは国連憲章の「旧敵国条項」を根拠とするものでしたが、同条項は1995年に削除決議が採択されており、現在では「死文化している」との認識が一般的です。
原口議員の擁護と「曖昧戦略」への問い
原口議員は、高市首相の答弁が中国に対して「武力行使や脅威を与える」意図はなかったとし、「法の当てはめを聞かれて、ケースを答えたに過ぎない。しかし返ってきたのが旧敵国条項。とんでもない」と指摘しました。さらに、「高市さんに謝れと言っているけど、かえって国際社会は強いメッセージで彼女を支えてますよ」と高市首相を擁護する姿勢を見せました。
その上で、原口議員は茂木敏充外相（70）に対し、「（存立危機事態の認定は）個別具体的な状況に即し政府が総合的に判断する」という歴代政権が採用してきた「曖昧戦略」を、高市内閣が現在も維持しているのかどうかを問いただしました。
茂木外相の反論と党内からのヤジ
茂木外相は、原口議員の質問に対し、「曖昧戦略を定義すること自体が、曖昧戦略を否定することになるのではないか」と述べつつ、高市首相の答弁を引き出した立憲民主党の岡田克也議員（72）にも言及。「（存立危機事態の認定要件について）岡田委員の方が迫られていた。曖昧戦略を、定義は別にして、変えられるようなことをされたのではないか」と返答し、岡田議員にも「責任がある」との論調を示しました。
岡田議員への責任論については、立憲民主党の野田佳彦代表（68）をはじめ、同党議員のほとんどが反発しています。しかし、原口議員は茂木外相の指摘を受け、「茂木大臣がご批判になったことは、私たちも真摯に受け取らなければいけないと考えているわけです」と述べました。
衆院予算委員会での立憲民主党・原口一博議員
その直後、原口議員の後方から「“いやいや”」というヤジが飛び、原口議員は声のした方向を睨みつけながら「“いやいや”ってどういうことだよ？」と怒りを露わにしました。続けて、「国益を賭けてるわけですよ。おかしいでしょ！侵略の意図も武力攻撃の意図もないのに、なんで旧敵国条項を出すんですか？明らかにやりすぎでしょ」と強く訴えました。
ヤジの「犯人」と原口議員の不満
原口議員の主張はX（旧Twitter）でも拡散され、一部からは「本当その通り」「国会史に残るレベルの名場面だろ」といった称賛の声が上がると同時に、ヤジを飛ばした人物の「犯人探し」も行われました。
原口議員は11月29日のYouTube生配信で、当時の舞台裏を明かしました。彼は配信で、「最悪のケースに備えなければいけないが、個々具体については中国の主権に最大限配慮して言わないという曖昧戦略を取ります。これがアメリカ、日本の基本政策で、立憲もこの立場に立っています。茂木外務大臣は、“それを破ったのは誰ですか”と。その指摘を重く受け止めると言ったんです」と経緯を説明しました。
その上で、「そしたら、後ろからヤジったのがいてですね。“いやいや”っていう訳です。見たら自分の党の人間じゃないですか。今日までに謝りに来るのかなと思ったけど、何も言わない」と、ヤジを飛ばしたのが同党の後輩議員であることを示唆しました。さらに、「“いやいや”って。同じ立憲民主党の、その後は言いませんけど。お前後輩だろ？しかも今に至るまで謝りに来んと。どういうことだと。“いや、先輩に言ったんじゃありません。茂木さんの答弁に言ったんです”と言ってたけど、僕の質問に言ってるじゃないですか」と不満を述べ、立憲民主党の現状に対しても、「立憲民主党も、もう変わらないと限界ですね。ちょっと本当に、度を越えてますよね。自分で聞いといて謝れって、それはいくらなんでも、ないでしょ」と呆れた様子で苦言を呈しました。
この一件は、重要な外交問題に対する国会での議論の複雑さだけでなく、立憲民主党内の異なる見解やコミュニケーションの問題を浮き彫りにする出来事となりました。
参照元:
https://news.yahoo.co.jp/articles/e586c7886472f7305906f1171b70015a3a6def34
