セキスイハウス7000万円「欠陥住宅」トラブル:調停不成立、夫も死去

大手ハウスメーカー「セキスイハウス」で7000万円を投じて建てた夢のマイホームが「欠陥住宅」だった――。入居直後から不具合が相次ぎ、長引くトラブルの中で夫を亡くした40代主婦、A子さんの悲痛な訴えです。セキスイハウスとの終わりの見えない争いは、家族の暮らしを破壊し、悲劇を招きました。

セキスイハウスの欠陥住宅トラブルを訴えるA子さん。取材に応じ、夫と共に作成した大量の資料を前に座る。セキスイハウスの欠陥住宅トラブルを訴えるA子さん。取材に応じ、夫と共に作成した大量の資料を前に座る。

入居から始まった悪夢:次々と発覚する欠陥

A子さんの自宅は購入価格7000万円。しかし、入居初日から配管の水漏れ、無数のビス穴、締め忘れボルト、床の黒ずみなど数々の欠陥が発見されました。セキスイハウスは修繕工事を試みましたが、行うたびに新たな問題が発生し、現在は2階天井が剥がされ鉄骨等がむき出しという無惨な状態です。

セキスイハウスがA子さんに送付したとされる書面。この書面から両者のトラブル、そして調停へと発展した。セキスイハウスがA子さんに送付したとされる書面。この書面から両者のトラブル、そして調停へと発展した。

調停の不成立と隠された制震システム

セキスイハウスは2019年9月、工事方法の同意を求め調停を申し立てますが、約1年の協議は不調に終わりました。セキスイハウス側はA子さんの指摘全てに「問題ない」の一点張りでした。さらに、購入時に設置されると説明されていた独自の制震システム「ハイブリッドシーカス」が実はなかったことも判明。「なくても問題ない」とするセキスイハウスの主張に、A子さんは耐震性への強い不安を募らせています。

中断した工事と返却されない家財の行方

調停の不成立を受け、修繕工事は現在も中断しています。工事のためにセキスイハウス負担で倉庫保管されていた2階の家財についても、調停不成立後、「これ以上の保管費用は負担しない」と通告されました。A子さんが返却を求めても、荷物は今も戻ってきていません。生活は混乱し、先行きが見えません。

夫の無念と専門家が示す責任

終わりの見えないトラブルは夫の命まで奪いました。享年53歳。生前「この住環境が本当に辛い、もう限界だ」と苦しんでいた夫は、セキスイハウスとの交渉窓口を務め、その精神的負担は計り知れませんでした。

この欠陥住宅問題に詳しい日本建築検査研究所の岩山健一氏は、「下請け施工でも修繕責任は元請けのセキスイハウスにあり、修繕に必要な一時的な退去や荷物保管の費用も道義的に負担すべき」と指摘。大手ハウスメーカーでも杜撰な工事トラブルは起こり得ると警鐘を鳴らします。

セキスイハウスの無回答と残されたA子さんの願い

FRIDAYの取材に対し、セキスイハウスはA子さんの住宅で見つかった欠陥の事実やトラブル原因、荷物未返却の理由などを尋ねましたが、「個別の事案に関する内容であり、お客様のご事情を考慮して、回答は差し控えさせていただきます」と終始無回答でした。

現在、A子さんは3歳の息子と1階部分だけで生活し、「欠陥のない普通の家に住みたい」と願うだけです。高額な慰謝料ではなく、普通の暮らしを求めるA子さんが、セキスイハウスの責任ある対応により平穏を取り戻せる日はまだ見えてきません。

本件は『FRIDAY』2025年6月20日号およびFRIDAYデジタルが報じました。