トランプ大統領、日本に関税引き上げを警告 日米貿易交渉の行方は?

ドナルド・トランプ米大統領は1日、日本との貿易交渉について、来週に迫った期限までに合意に至らない場合、「30%か35%」という大幅な関税を課す考えを示唆しました。この数字は、今年4月に一度発表された24%の関税率を大きく上回るものです。この発言は、日米間の貿易関係に新たな緊張をもたらすものとして注目されています。

日米貿易交渉の期限が迫る中、日本への関税引き上げを示唆したドナルド・トランプ米大統領日米貿易交渉の期限が迫る中、日本への関税引き上げを示唆したドナルド・トランプ米大統領

背景:関税引き上げの経緯と交渉期限

米国は今年4月2日を「解放の日」と呼び、世界各国からの輸入品に対する関税の大幅な引き上げを発表しました。この際、日本に対しては24%の関税が示されていました。しかし、その後の90日間、多くの貿易相手国には交渉の時間を与えるとして、関税を一時的に10%に引き下げていました。

この90日間の猶予期間は、今月9日に終了します。トランプ大統領は、この期限を延長する考えがないことを明確にしています。

トランプ氏の見解:合意成立への疑念

トランプ大統領は以前から、日本との貿易協定の締結について疑わしいとの見方を示しています。1日には、大統領専用機内で記者団に対し、「日本とはやり取りしたが、合意するかはわからない。疑わしい」と述べ、改めて合意成立に否定的な姿勢を示しました。

日本政府の対応:コメント控えと農産物への言及

日本政府は2日、トランプ大統領の関税引き上げに関する発言について、直接的なコメントを避けました。青木一彦官房副長官は同日の記者会見で、トランプ氏の発言は承知しているとした上で、「米国政府関係者の発言等に逐一コメントすることは差し控えたい」と述べました。

一方、林芳正官房長官は2日、米国との貿易合意のために日本の農家を犠牲にするような譲歩はしないと表明しました。この発言は、トランプ氏が各国の対米貿易政策を批判する中で、特に日本のコメ輸入について言及したことへの日本側の基本的なスタンスを示すものと見られます。

コメ輸入を巡るトランプ氏の批判

トランプ大統領は、自身のソーシャルメディアであるトゥルース・ソーシャルに投稿し、各国は米国との関係で甘やかされてきたと述べました。特に日本については、「私は日本に大きな敬意を持っているが、日本は私たちのコメを受け入れようとしない。コメが大量に不足しているのにだ」と批判し、貿易不均衡や市場アクセスの問題を改めて提起しました。

現在の対米輸出における関税状況

現在、日本から米国への輸出品の大半には10%の関税が適用されています。これは、多くの国の対米輸出品に課されている税率と同等です。しかし、日本の主要な輸出品である自動車と部品には25%、鉄鋼とアルミニウムには50%という高い関税が既に課せられています。

結論:期限迫る日米貿易交渉の行方

7月9日の期限を目前に控え、ドナルド・トランプ米大統領による日本への大幅な関税引き上げ発動の可能性が現実味を帯びてきました。トランプ氏が改めて合意成立に疑念を示し、日本政府も農産物分野での安易な譲歩はしない姿勢を崩していません。今後の日米貿易交渉は、期限までに歩み寄りが見られるか、それとも関税引き上げが実行されるか、予断を許さない緊迫した状況が続いています。

参照: BBC News