海外からの就労者や観光客の増加に伴い、外国人による迷惑行為や犯罪、制度悪用といった問題が顕在化しています。難民認定制度の悪用や外国資本による重要施設周辺の土地取得、不適切な社会保障制度の利用など、国の制度に関わるさまざまな課題も指摘されます。埼玉県川口市では、トルコの少数民族クルド人の一部と地元住民の摩擦が表面化するなど、各地で具体的な問題が起きています。これらの山積する課題に対し、各政党は夏の参院選公約でどう向き合うのか。外国人政策における「規制」と「共生」という、異なる方向性で議論が進んでいます。
2024年、東京・渋谷のコンビニ付近で路上飲酒する外国人留学生の様子。増加する外国人による迷惑行為の一例。
「規制」重視の政党の姿勢
主要政党のうち、自民党、日本維新の会、国民民主党の3党は、外国人受け入れ拡大には慎重な姿勢を示し、現行制度の厳格な運用を掲げています。
自民党は「違法外国人ゼロ」を目標に掲げ、母国の運転免許を日本の免許へ切り替える「外国免許切替(外免切替)」制度や不動産所有などについて、「法令に基づいて厳格かつ毅然と対応する」と訴えています。難民認定申請中であることを理由に入管施設への収容を一時的に解かれた不法滞在状態の仮放免者への対応強化も公約に明記しました。自民党としては、外国人問題への厳しい対応を打ち出すことで、支持離れが指摘される保守層をつなぎ留める狙いがあると見られます。石破茂首相(自民総裁)も2日の党首討論会で「違法な外国人は認めない」と断言。一方、労働力として外国人を受け入れる必要性に言及した際、日本語や日本の習慣を「七面倒くさい」と表現したことが交流サイト(SNS)などで批判を浴びました。
日本維新の会は、外国人比率の上昇抑制や受け入れの総量規制を含む人口戦略を策定すると主張。安全保障上重要な区域における外国資本による土地取得に対し、事前許可制と利用規制の導入を提唱しています。
国民民主党も「外国人土地取得規制法」の制定を公約に挙げたほか、外国人旅行者への消費税免税制度の見直しも明記しました。しかし、参院選公示日の3日、「外国人に対する過度な優遇を見直す」との公約記述を修正したと明らかにし、玉木雄一郎代表は「排外主義」との指摘を受けた措置だと説明するなど、批判に神経をとがらせる様子も見られました。
その他の政党の主張
れいわ新選組も「移民政策」反対を強調しています。また、参政党は「日本人ファースト」を旗頭に、「行き過ぎた外国人受け入れ」に反対。外国人による不動産購入を厳格に制限し、外国人参政権は一切認めない立場をとっています。
まとめ
このように、今夏の参院選では、外国人問題への対応方針として「規制」を重視する政党が多く存在することが明らかになりました。一方で、「共生」の視点も議論の対象となっており、今後の日本の外国人政策の針路が有権者に問われる選挙となります。