参院選序盤情勢:自公、過半数維持に苦戦 立憲・国民・参政に勢い

毎日新聞は5、6両日、第27回参院選(20日投開票)に関する特別世論調査を実施し、取材を加えて序盤の情勢を分析しました。調査と取材を総合した結果、自民・公明両党は非改選を含む過半数(125議席)維持に必要な50議席の確保に苦戦しており、与野党間の攻防が激しさを増しています。自民党は単独で40議席台に届くか微妙な情勢で、議席を減らす公算が大きいです。一方、立憲民主党は堅調に推移しており、改選22議席を上回る勢いを見せています。国民民主党と参政党も議席を大きく伸ばす可能性があり、勢いづいています。

参院選の候補者による演説を聴く有権者たち参院選の候補者による演説を聴く有権者たち

各党の序盤情勢

自民党・公明党

自民党は、全国に32ある改選数1の「1人区」において、石川、岐阜、奈良、鳥取・島根、山口など9選挙区で優位に戦いを進めているものの、苦戦している選挙区が目立ちます。改選数2以上の「複数区」(13選挙区)では、11選挙区でそれぞれ1議席を確保できる見込みです。比例代表では12~15議席の獲得予想となり、前回2022年の18議席から議席を減らす見通しです。全体としては32~46議席が見込まれます。

公明党は擁立した7選挙区のうち、議席確保のめどが立っているのは東京選挙区のみで、接戦となっている選挙区が多い状況です。比例代表と合わせても最大10議席にとどまる見通しで、改選14議席を下回る可能性が高いです。

野党の動向と主要政党

候補者の一本化が一定程度進んだ立憲民主党などの野党は、選挙戦を優位に進めている選挙区があります。1人区では、無所属や野党系候補が優勢な選挙区が秋田、宮城、長野、三重、愛媛、宮崎など16選挙区に上ります。また、福島、栃木、富山、山梨、岡山、佐賀、熊本の7選挙区では、自民党候補と激しい接戦を演じています。

立憲民主党は、複数区のうち北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、広島、福岡の各選挙区で1議席獲得が見込まれており、安定した戦いぶりです。比例代表では7~10議席を確保する勢いで、改選議席数を上回る公算が大きくなっています。

前回12議席を獲得した日本維新の会は、今回の序盤情勢では伸び悩みが指摘されています。京都と大阪の選挙区でそれぞれ1議席獲得が有力視されており、大阪の2議席目や東京、兵庫での議席獲得を目指しています。比例代表では3~4議席の獲得予想にとどまっています。改選7議席の共産党は、東京選挙区で1議席、比例代表で2~3議席を獲得する見込みです。

国民民主党は、静岡、愛知、香川の各選挙区で議席獲得が見込まれており、千葉、東京、神奈川などでも接戦を繰り広げています。比例代表では6~7議席を確保する勢いがあり、改選4議席から大きく議席数を伸ばす可能性が高い情勢です。

れいわ新選組、参政党、その他の党

れいわ新選組は、比例代表で3~4議席の獲得が予想されており、東京選挙区でも議席獲得の可能性があります。東京都議選で躍進を見せた参政党は、東京に加え、愛知、福岡の選挙区で議席を確保できる見込みです。埼玉、千葉、神奈川、大阪などでも接戦となっており、比例代表では6~7議席を獲得する勢いを見せており、今回の参院選での躍進が注目されています。社民党は比例代表での議席獲得の可能性があります。日本保守党も比例代表で1~2議席を確保する見込みです。

今回の参院選では、改選124議席(選挙区74、比例代表50)に加え、東京選挙区の非改選の欠員補充1を合わせた計125議席が争われます。

調査の概要

今回の特別世論調査は、毎日新聞とTBSテレビ/JNNが共同で、7月5日と6日の両日にわたり実施しました。調査対象はスマートフォンを所有する方を対象としたインターネット調査「dサーベイ」方式で行われました。dサーベイは、社会調査研究センターがNTTドコモの協力を得て開発した調査手法で、ドコモが運営するdポイントクラブの会員(18歳以上、全国約7400万人)の母集団から、統計的に無作為抽出された対象者に調査協力依頼メールを配信する形で行われます。今回は5万5430人から有効な回答を得ました。

調査では、選挙区で回答者の約5割弱、比例代表で約4割弱がまだ投票先を決めていないと回答しており、投開票日までの選挙情勢は今後変動する可能性があります。

参考文献