今回の参議院選挙は、総定数248のうち選挙区74、比例代表50の計124議席が改選され、東京選挙区の欠員補充と合わせ合計125議席を巡る戦いとなる。2024年の衆議院選挙で自民党・公明党の与党は過半数割れし、少数与党内閣が誕生した。石破茂首相は、今回の参院選の勝敗ラインについて、非改選議員と合わせて与党で過半数維持を目指す方針を示している。自民・公明両党の非改選議席は計75議席であり、参議院全体で過半数を維持するためには、与党は改選で50議席以上を獲得する必要がある。
石破政権の命運を左右する選挙に
今回の参議院選挙の最大の焦点は、自民・公明両党が非改選議席と合わせて参議院での過半数を維持できるか、あるいは野党がそれを阻止し、過半数割れに追い込めるかにある。選挙結果は、石破首相の政権運営や連立政権の枠組みに大きな影響を与える可能性があるため、与野党双方は石破政権の今後を左右する事実上の「政権選択選挙」と位置づけ、総力戦で臨む構えだ。
全国に32ある改選定数1の「1人区」の行方が、全体の勝敗のカギを握る。野党各党は比例票の上積みを狙い積極的な候補者擁立を進めた結果、1人区の半数程度で立憲民主党、日本維新の会、国民民主党といった主要野党候補が競合する構図となった。2024年の衆議院選挙や2025年6月の東京都議会議員選挙では、自民党支持層の他党候補への流出や保守層の離反といった傾向が明確に現れている。与野党は組織固めに加え、SNSなどを活用した無党派層や保守層への働きかけにも注力している。
各党党首による参院選に向けた討論会の様子
政策を巡る論点と各党の主張
今回の選挙戦では、米価問題への対応、家計支援を含む物価高対策、社会保障制度改革、そして日米関税協議を含む外交・安全保障政策などが主な争点として議論される見通しだ。参議院選挙の公示を前に、与野党8党の党首は7月2日、日本記者クラブ主催の討論会に臨み、それぞれの政策について論戦を交わした。
物価高対策に関しては、自民・公明両党は公約として、子どもや住民税非課税世帯の大人に1人当たり4万円、その他に1人当たり2万円を給付する案を掲げている。これに対し、野党各党は目玉政策として消費税の減税または廃止などを主張しており、物価上昇による国民生活への影響を巡る対応策が大きな論点の一つとなっている。
日米両国の国旗と関税交渉のイメージ
参院選が示す政権の安定性
今回の参議院選挙は、現在の少数与党である石破政権にとって、今後の安定した政権運営が可能となるかを占う試金石となる。与党が目標とする過半数維持を達成できるか、あるいは野党が議席を伸ばし、国会での与党の立場がさらに厳しくなるかによって、政権の安定性、法案の成立、さらには今後の政局に大きな影響が出ることは必至であり、その結果が注目されている。