日本を代表するコメディアン、萩本欽一さん(84歳)が、フジテレビの人気番組「ボクらの時代」(日曜午前7時放送)に出演し、2020年8月に逝去された最愛の妻・澄子さん(3歳年上)との深く、そして型破りな夫婦関係について率直に語りました。長年にわたり公私にわたり萩本さんを支え続けた澄子さんとの、独自の絆や忘れられないエピソードが明かされ、多くの視聴者の心に響いています。
萩本欽一氏が亡き妻・澄子夫人との思い出を語る姿
唯一無二の夫婦関係:「会話なし」「喧嘩なし」の真実
番組共演者である女優の浜木綿子さんから「澄子さん、情熱家でいらしたんですってね」と話を振られた萩本さんは、「亡くなったら、“あ、いい人だったんだな”とか」と感慨深く語りました。浜さんからの「遅いじゃないの」という鋭いツッコミに対し、萩本さんは「会話してなかったもんですから」と、一般的な夫婦像とはかけ離れた二人の関係性を明かしました。
萩本さんによれば、澄子さんは「劇場で言うと、(妻が)主演でやってるときの(自分が)セリフが2つしかない」という位置付けだったと言います。このような関係性からか、結婚生活において「喧嘩とか怒ったことないです」と断言。互いの役割を明確にし、独自の距離感を保つことで、長年にわたる夫婦円満を築いてきたことが伺えます。
萩本欽一流「Uターン方式」円満の秘訣
喧嘩がなかった秘訣として、萩本さんが語ったのが独自の「Uターン方式」でした。これは、妻からの要望や小言に対し、一度その言葉を自分の中で昇華させ、ユーモアを交えながら応じるというもの。
例えば、澄子さんから「ゴミ捨てて」と言われた際には、「ゴミ捨ててって、旦那にそんなものお願いするって、そういうことは世間じゃ言うことないでしょうってみんな言ってるけど、僕は捨てに行きますよ」と返答。また、「洗濯物、少し溜めすぎじゃないの」と言われた際には、「そういう時はよしなよって、普通の旦那なら言うけど、僕は言わないけどね」と顔色をうかがいつつ、「危ない!って、そういうのがいるけどね、僕はどうぞ、自由に生きるのがいいと思いますよ」と、相手を否定せず、しかし自分のペースを守る独特のやり取りを披露しました。この「Uターン方式」こそが、二人の関係を穏やかに保つ秘訣だったと萩本さんは振り返ります。
妻への深い愛情と忠誠心
浜木綿子さんが「他の女性を愛すとかそういうことは絶対なかったの?」と問いかけると、萩本さんは間髪入れずに「ないです、それしちゃうといけないなって言うんで」と即答。澄子さんへの揺るぎない愛情と忠誠心が垣間見えました。
また、萩本さんは「もう一つで言うとね、“あなた”とか言われてないの。“ちょいと”って」と、澄子さんからのユニークな呼び方を明かしました。浜さんに「あなたってちょっと言ってみて」とリクエストし、浜さんが「あなた」と呼ぶと、「うわあ、スミちゃん、これをお願いしたかったんだよ」と漏らし、長年抱いていたであろう妻への小さな願望と、それが叶ったかのような喜びを語り、その場に温かい笑いを誘いました。
最期の「ありがとう」と夫婦の墓計画
澄子さんが亡くなるおよそ3日前、お見舞いに行った萩本さんは、忘れられない言葉を耳にしました。「ありがとう」──。萩本さんにとって、澄子さんから直接感謝の言葉を聞くのはこれが初めてだったと言います。「うわ、ラッキーだ。ありがとうっての初めて聞いて、“万歳、万歳。やったー”って言ったらね、次の日また言ったのかな。“ありがとうね”“ありがとうね”って2つ言ってくれた」と、その時の感動と喜びを振り返り、最期の瞬間に交わされた「ありがとう」が、いかに萩本さんにとってかけがえのない宝物となったかを語りました。
現在、萩本さんはYouTubeで「最後の夢物語」と題し、自身のお墓作りを進めています。当初は「お金もかかるから、私のお墓に入りたい人は入れてあげる」と募ったものの、150人もの応募があったため「ちょっと締め切らしてちょうだい」と苦笑い。柴田理恵さんから「奥様もそのお墓に?」と問われると、萩本さんは「奥さんはね、最後に言ったのは“亡くなってお墓だけはちょっと別にしといてくれ”って。自分でお墓、内緒に買ってね、ほんで、子供たちにそこに入るようにって」と、澄子さん自身の意向で別の墓を建てていたことを明かしました。浜さんからの「欽ちゃんはそこには入らないの?」という問いには、「“どうせ好きなようなまたお墓作るんだろ”って言うから、“そうです”って言ったもんだから」と笑い飛ばし、最期まで自由奔放な萩本さんらしいエピソードを披露しました。
澄子夫人への感謝と「自由人」の幸福
萩本さんのユニークな夫婦関係やエピソードに、浜木綿子さんは「欽ちゃん自由人ね。幸せですよ。お幸せ」と語りかけました。それに対し萩本さんは、「その幸せってのはスミちゃんの偉大さだよ」と述べ、自身の幸福はすべて亡き妻・澄子さんの理解と寛大さによってもたらされたものであると、改めて深い感謝の念を示しました。会話は少なくとも、確かな信頼と愛情で結ばれていた萩本夫妻の絆は、多くの人々に感動を与えています。
出典:
https://news.yahoo.co.jp/articles/b59d3919902e32b56cf817764f070885540eca21