参院選で社民党から初当選したコント赤信号のラサール石井氏(69)が27日までに自身のX(旧ツイッター)を更新し、戦時中の水没事故で多くの犠牲者を出した山口県宇部市の海底炭鉱「長生炭鉱」に残された遺骨の収容を巡る一部の批判に対し、自身の見解を説明しました。遺骨収容の様子を投稿したことへの批判に対し、「礼儀は尽くされた上だと思う」と反論しています。
ラサール石井氏、長生炭鉱遺骨収容を巡る発言について説明(2025年8月撮影)
長生炭鉱の悲劇と遺骨収容の背景
長生炭鉱は、1942年の水没事故により183人が死亡した悲劇の現場です。事故から83年が経過した現在も、多くの遺骨が海底に眠ったままでした。ラサール石井氏は、収容された遺骨、特に犠牲者のものと見られる頭蓋骨の写真をXにアップロードし、「83年間、ものすごい長さです。その間ずっと、待ってくださっていたご遺骨。真っ黒なのは、石炭のためでしょうか」と投稿。この行動に対し、一部のユーザーからは「左派共産系は、遺骨への礼儀も知らんのやろうな」といった批判的なコメントが寄せられました。
批判とラサール石井氏の見解
こうした批判に対し、石井氏は「『遺骨への礼儀』とは、海から引き上げたその骨を警察に引き渡し、しっかり鑑定してもらい、犠牲者遺族とのDNA鑑定の後お名前を特定して、遺族にお返しして手厚く葬っていただく。そしてそれを183名続ける。そこまでして全うできるものです」と丁寧に説明しました。
さらに、「海底で生きていた時のまま横たわる遺体。その頭蓋骨をそのままにしておけなかった韓国人ダイバーたち。浜で待ち受けた人々は、思いもかけぬ事態にそれを追悼しなくてはいられない。それを映像で切り取る報道。すべてがドキュメントです」と述べ、ショッキングな映像であっても「これが民意を、そして政府を動かすのだと思います」との私見を展開。適切性の評価には時間が必要としつつも、「事故にあわれた方々の無念、80有余年海底に放置されたご遺骨(そこにあるのはわかっていたのに)、『刻む会』の皆様の執念、御遺族のお気持ち、それらを思うと、胸に迫るものがあります。頭蓋骨の映像は様々な事を我々に訴えてくる。礼儀は尽くされた上だと思います」と綴り、自身の行動が単なる不適切行為ではなく、深い意味を持つものであることを強調しました。
社民党公式アカウントからの訴え
ラサール石井氏への批判に対し、社民党の公式Xアカウントも同様の姿勢で反応しました。公式アカウントは、「ご遺骨のなかでも特に頭蓋骨を目にするのは、どなたも衝撃があることと思います。ですが、やはりこれはできるなら多くの方に直視していただきたいのです」と呼びかけました。
続けて、「なぜこのご遺骨が80年も海の下で眠っていたか、そして今日ここに姿をあらわしているか。183人と言われる犠牲者が、引き揚げられることもなく海底でそっとこのままにして欲しいと考えたとは思えません。ご家族のもとに故郷に、ご遺骨を返し悼むことは、2025年を生きているわたしたち『日本人』の責任だと考えます。忘れないことも責任のひとつでしょう。礼儀の問題ではなく責任です」と、遺骨収容が「礼儀」以上に「責任」の問題であることを力説しました。そして、「もちろん現地では、みなさんがご遺骨に礼を尽くして接しているのは言うまでもないことです。しっかりと目に焼き付けていただきたいのです。そしてまだ最初のおひとりに過ぎないことを意識していただきたいです」と締めくくり、歴史の事実と未来への責任を訴えました。
まとめ
今回のラサール石井氏による長生炭鉱の遺骨に関する投稿とその後の説明、そして社民党の公式見解は、過去の悲劇と現代の私たちに課せられた歴史的責任について深く考えるきっかけを与えました。遺骨の写真が持つ衝撃性は議論を呼びましたが、その背後には、80年以上にわたり忘れ去られていた命への敬意と、未だ果たされていない収容・追悼の責任を社会全体に問いかける意図があったことが示されています。これは、単なる「礼儀」の問題に留まらず、日本人としての「責任」を再認識させる重要な出来事と言えるでしょう。