小泉進次郎農相、江藤前農相の「監視役」報道に言及 – 党内融和と政策推進の狭間で

自民党の小泉進次郎農相は1日、テレビ朝日系「大下容子ワイド!スクランブル」に生出演し、自身の前任者である江藤拓前農相が、自民党の新組織「農業構造転換推進委員会」の委員長に就任したことについて見解を述べました。江藤氏は過去に「私は米を買ったことがない」との失言で更迭されており、その人物の新委員長就任は党内外で注目を集めています。小泉農相のコメントは、党内の複雑な力学と、自身の推進する農業政策の行方を浮き彫りにしました。

江藤前農相の委員長就任と小泉農相の反応

江藤拓前農相が自民党の新たなコメ政策・農業政策議論の場である「農業構造転換推進委員会」の委員長に就任したことの是非について、番組MCの大下容子アナウンサーから問われた小泉農相は、まず「これは自民党の人事ですから私がどうこう言うことではありません」と直接的な評価を避けました。しかしその上で、「こういったことがあると、自民党と私の対立とか、そう映った方が面白いと思った人たちが、いろんなことをあおることってあるんです」と述べ、自身の立場と党内での見方を巡る動きに牽制の姿勢を示しました。

小泉進次郎農相がテレビ出演時、党内情勢や農業政策について語る様子小泉進次郎農相がテレビ出演時、党内情勢や農業政策について語る様子

備蓄米放出を巡る党内からの声と大臣の立場

小泉農相は、大臣就任直後に行った随意契約による備蓄米放出について、党内からの厳しい声があったことを示唆しました。「結果として今回、たとえば、大臣になって(随意契約による)備蓄米放出をやりますと言ったことを、自民党に十分に言ったわけではなく、そのことをもって面白くないから、いろいろ(自分自身が)言われたことはあります」と語り、政策決定プロセスにおける党との連携の難しさをにじませました。その上で、「そこは、大臣の立場では、いま、機動的にやらないといけないことを1つ1つ、(党に)おうかがいを立てるわけにはいかないという大臣の立場は、ご理解をいただきたい」と、迅速な対応を要する大臣の職責への理解を求めました。

党内の結束を重視する姿勢

さらに小泉農相は、今後の大きな政策議論において、党と大臣が「お互いにしっかり議論をかわしながらやっていくという局面」に入っていることを強調し、その姿勢を大切にしたいと述べました。

また、現在の自民党にとって最も良くない状況として、「『何をやるのもバラバラだね(と言われること)』」を挙げ、石破首相の進退論を巡って党内意見が分裂している現状に警鐘を鳴らしました。小泉氏は、自身が野党時代の自民党で初当選した経験に触れ、谷垣禎一総裁の下、「みんなでやろうぜ」を合言葉に苦しい時期を乗り越えたことを指摘。「私はあの時が自分の原体験。今の党内の状況と、米政策、農業政策においても、対立を盛り上げるつもりはありません」と述べ、党内の融和を重視し、安易な対立を避ける意思を明確にしました。

「監視役」説の背景

自民党の農水族として知られる江藤氏の今回の委員長就任については、一部で改革路線を打ち出す小泉農相に対する「監視役」の意味合いがあるのではないかという見方も出ています。これは、小泉氏の政策が党内の伝統的な農政推進派と摩擦を生む可能性を背景にしたものです。小泉農相のコメントは、こうした党内での様々な憶測や力学を意識した上で、自身の政策推進と党全体の結束を両立させようとする慎重な姿勢を示していると言えるでしょう。

小泉農相は、江藤前農相の新たな役割に対する複雑な状況を認識しつつ、党内の融和と農業政策の確実な推進の重要性を強調しました。党全体の結束を訴えながら、自身の改革路線と党内の合意形成のバランスを模索する姿勢を鮮明にし、今後の自民党の農業政策、ひいては党内情勢がどのように展開していくのか、引き続き注目されます。

参考文献