Office 2016/2019サポート終了はWindows 10以上に関心?IT専門家が解説する「危険な実態」

2023年10月14日、Microsoft Office 2016および2019のサポートが終了しました。多くのユーザーがWindows 10のサポート終了に意識を向けがちですが、このOffice製品のサポート終了も、同様に、いやそれ以上に無視できない重要な問題です。筆者自身もWindows 11への移行を機にOffice 2024の買い切り型を購入した直後にこの情報を知り、果たしてこの選択が正しかったのか、不安を抱きました。サポート終了とは具体的に何を意味し、Office 2016/2019を使い続けるとどのようなリスクがあるのでしょうか。

サポート終了が意味するもの:家屋の補修に例えるセキュリティの重要性

まず、Officeの「サポート終了」が何を意味するのか、ITジャーナリストの三上洋氏はこう説明します。「Officeに限らずスマホやパソコンのソフトウェアは商品化された時点で完成されているわけではなく、新機能やセキュリティなどに対するアップデートをしていく必要があります。ソフトウェアには脆弱性が存在します。日々、外から攻撃されたり侵入されたりするような弱点が見つかるため、アップデートしていかなければ攻撃されかねません。」

さらに三上氏は、分かりやすい比喩を用いてその重要性を強調します。「よく家に例えるのですが、家を建てたら定期的に補修をしなくちゃいけませんよね?その補修がソフトウェアでいうアップデートでありサポートです。ですから“サポート終了”は、壁に穴が開いても直せません、補修は一切しません、という意味。アップデートによる弱点の修正をやめるわけですから、その状態での使用は控えたほうがいい、ということになります。」これは、ユーザー自身が意識せずとも、潜在的な危険に晒される可能性を示唆しています。

Office 2016とOffice 2019のサポートが2023年10月14日に終了し、多くのユーザーがMicrosoft 365への移行を検討している状況を示す画像Office 2016とOffice 2019のサポートが2023年10月14日に終了し、多くのユーザーがMicrosoft 365への移行を検討している状況を示す画像

サポート切れOfficeを使い続けるリスク:個人と組織への広範な影響

仮にOffice 2016やOffice 2019をサポート終了後も使い続けた場合、どのような事態が想定されるのでしょうか。三上氏はその危険性を具体的に指摘します。「穴だらけの家に住んでいるということですから、いつ泥棒に入られてもおかしくないということ。攻撃者側からすれば、いつでも簡単に攻撃できるわけです。外部からの侵入やウイルス感染を引き起こしうる危険な状態だと思ってください。」

これは単なる個人間の問題に留まりません。Office製品であるWord、Excel、PowerPointなどは、多くの企業や個人が取引先や仕事先との間で資料の作成や共有に利用しています。そのため、サポートが切れたOfficeを使い続けることは、セキュリティの脆弱性を放置するだけでなく、自身のPCがウイルスに感染し、作成したファイルを通じて知らず知らずのうちに取引先や顧客にまで被害を拡大させてしまうリスクをはらんでいます。個人の情報漏洩だけでなく、ビジネスパートナーにまで甚大な迷惑をかけてしまう可能性を考えると、Officeのサポート切れは決して軽視できる問題ではありません。

Office 2016および2019のサポート終了は、単なる機能停止ではなく、ユーザーを深刻なセキュリティリスクに晒すことを意味します。Windows 10と同様、サポートが終了したソフトウェアを使い続けることは、常に外部からの攻撃やウイルス感染の脅威に直面することを肝に銘じるべきでしょう。自身の安全と、関わる人々への影響を考慮し、Officeの最新版への移行、またはMicrosoft 365のようなサブスクリプション型サービスへの切り替えを真剣に検討することが、デジタル社会における賢明な選択と言えます。