高市早苗新内閣で経済安全保障担当相に起用された小野田紀美参議院議員(岡山選挙区)が、その個性的な言動と経歴で注目を集めている。かつてSNSで「3次元では国と結婚してるし、そもそもプライベートは2次専だって言ってるでしょ!!何度でも言うぞ2次専なの!!」と発言したように、彼女の「二次元専門」という顔は広く知られている。保守派の論客として、また高市氏の信頼厚い側近として新たな閣僚の職に就いた小野田氏の、多面的な人物像とその手腕に期待が寄せられている。
小野田紀美参議院議員の公式ウェブサイトからの肖像。高市新内閣の経済安全保障担当相として注目される。
高市早苗新内閣、発足と小野田氏の存在感
公明党の連立政権離脱という衝撃を乗り越え、日本維新の会の閣外協力を取り付け、辛くも10月21日に発足した高市早苗政権。首相任命式と閣僚認証式を終え、新内閣の面々が記念撮影に臨んだ際、高市早苗内閣総理大臣、片山さつき財務相とともに中央に並んだのが小野田紀美氏だった。メタリックな輝きを放つスーツと高身長が際立ち、ひときわ目を引く存在感を発揮した。
小野田紀美氏の経歴と政治的歩み
米・イリノイ州生まれの小野田紀美氏は現在42歳。1歳から母の故郷である岡山県で育ち、拓殖大学を卒業後、塾講師や雑誌編集者、モデル、ゲーム・CD制作会社勤務など異色の経歴を持つ。2011年に東京都北区議会議員選挙で初当選を果たし、2016年には地元の岡山選挙区から参院選に初出馬・初当選を飾った。
2022年の参院選でも相手候補を大差で下し、現在2期目を務めている。参院選の初当選後には一時、日本国籍と米国籍の両方を持つ二重国籍問題が指摘されたが、速やかに米国籍を喪失したことを報告し、問題は解消されている。
「対中強硬派」としての側面と高市氏からの信頼
全国紙政治部記者によると、小野田氏は岸田文雄政権で防衛大臣政務官を務めるなど、「防衛愛が非常に強い人物」として知られている。今年4月には、参院地方創生・デジタル特別委員会において、議員会館で稼働する中国製ロボット掃除機の情報漏洩リスクを問題視し、セキュリティへの懸念を指摘した。
高市氏に負けず劣らずの対中強硬派であり、歯に衣着せぬ発言をすることでも有名だ。高市氏からの信頼も厚く、先の総裁選では、高市陣営の女性議員や中堅・若手で構成された組織「チーム・サナエ」のキャプテンを務めたほどである。小野田氏は党員人気も高く、X(旧Twitter)のフォロワーは75万を超え、高市氏が総裁選で街頭演説に回れない際は、小野田氏が代理として多くの聴衆を集めた。「高市2世」と言っても過言ではない存在感を放っている。
政治家としての顔と「二次元専門」というもう一つの顔
自民党内の保守派として党員からの高い人気を誇る小野田氏には、もう一つ、支持者の間で広く知られている側面がある。それは、アニメやゲームのキャラクターの世界を指す「二次元」への深い愛情だ。彼女は女性向け恋愛ゲーム「アンジェリーク」のキャラクター「オスカー」を長年にわたり「推し」とし、現実の恋愛よりも二次元のキャラクターにときめく「2次専(二次元専門)」であることを自ら公言している。
冒頭で引用した発言は、小野田氏が3年前にXに投稿したツイートの一部であり、この投稿に先立ち、「『早く結婚を』『子供を産め』と20代の頃から有権者に言われ続けてきたけど40になってもまだこの言葉をぶつけられる事にため息出ますわ」と、自身の置かれた状況について本音を漏らしている。
公明党との独自路線と選挙戦略
公明党との関係においては、小野田氏は公明党が連立を離脱する前の2022年参院選の時から推薦を受けず、独自の選挙戦を展開してきた。2022年の参院選の際には、公明党の母体である創価学会が相手候補の支援に回ったとされるが、このような状況下でも小野田氏は約18万票差をつけて勝利を収め、自公の選挙協力のあり方に一石を投じた。
小野田氏は当時から「ごそっと組織票がなくなったことを考えれば、むしろ自分の支持票は増えた」と自信を覗かせており、ハレーション(波紋)が起きることを辞さない大胆な性格の持ち主でもある。
閣僚としての展望とリスク
前出の全国紙政治部記者は、今回の小野田氏の起用について、別の視点からも語る。「小野田氏は政治資金パーティーも開かず、金に興味がない。二次元を愛しているから現実の男性にも興味がない。そのため、スキャンダルが出てくるリスクは低いんです。今後さらにステップアップするチャンスになるでしょう」。
ただし、「対中国の思いが余って、閣僚として行き過ぎた発言をしなければ、ですが」と付け加えている。その強硬な姿勢が、時に外交上の繊細さを要する閣僚の職において、どのようにバランスされるかが今後の課題となるだろう。
官邸入りでのメタリックスーツが話題に
官邸入りした小野田氏が着用していた、目がチカチカするような銀色に輝くド派手なスーツは、記者たちの度肝を抜いた。このスーツが、片山さつき氏が7年前の新入閣時に着用していたものと同一のデザインであるとの指摘が相次ぎ、話題となった。小野田氏本人はSNSで「宮中のドレスコードに該当する服って殆ど売っていないので急いで買おうとしても選択肢が少なくてかぶりがちかも」と発信。彼女自身にとっても、今回の入閣は予期せぬ大出世だったのかもしれない。
新経済安全保障担当相として、小野田紀美氏がどのような手腕を発揮し、日本の政治に新たな風を吹き込むのか、その動向が注目される。
参考文献
- Yahoo!ニュース. (2025年10月24日). 小野田紀美氏が経済安全保障担当相に起用 「二次元専門」を公言する「高市2世」の横顔. https://news.yahoo.co.jp/articles/ade6a87223ce2401f364c6d2dc25b12c71356c38
- NEWSポストセブン. (2025年10月24日). 小野田紀美氏がときめき愛する“オスカー”、話題のメタリックスーツの全身姿. https://www.news-postseven.com/archives/20251024_2072110.html




