名古屋主婦殺害事件、26年越しの逮捕容疑者・安福久美子が抱いた被害者夫への「歪んだ偏愛」

1999年11月13日、名古屋市で高羽奈美子さん(当時32歳)が命を絶たれた衝撃的な主婦殺害事件から26年が経過した今年、犯人の女が出頭し、安福久美子容疑者(69歳)が逮捕されました。長きにわたる“逃亡生活”の実態は、警戒心と大胆さが入り混じった虚飾に満ちたものであったことが明らかになっています。この事件の背後には、安福容疑者が被害者の夫である高羽悟さんに対し、高校時代から抱き続けた「片思い」と、その後の人生で経験した複数の悲劇が深く関わっていたと見られています。現地での徹底取材から浮かび上がった、驚くべき真相に迫ります。

高校時代の出会いと秘めた恋心

安福久美子容疑者は、名古屋市で2人姉妹の長女として育ち、地元の中学校を卒業後、愛知県立惟信高校に進学しました。そこで軟式テニス部の部員として出会ったのが、後に被害者の夫となる高羽悟さんでした。高羽さんによると、安福容疑者がテニスを始めたのは高校からで、中学から経験のある部員たちと比べると、特に上手な方ではなかったといいます。しかし、安福容疑者が高羽さんに恋心を抱いていたことは、当時の部員たちの間では周知の事実でした。部内の仲間たちは、「久美ちゃんが高羽さんのことを好きだということは皆が知っていた」と語っています。

高羽さん自身も、高校2年と3年で安福容疑者から手紙付きのバレンタインチョコを受け取ったと述懐しています。しかし、高羽さんが好意を寄せていたのは安福容疑者の親友だったため、直接的に「君の親友が好きだから」とは言わず、やんわりと断っていたとのことです。

高校時代の軟式テニス部に所属する高羽悟さん高校時代の軟式テニス部に所属する高羽悟さん

執着から歪んだ情念へ:安福容疑者の人生の転機

高校卒業後、高羽さんは私立愛知大学へ、安福容疑者は1年浪人の末、愛知県立大学へとそれぞれ異なる道を歩み始めました。しかし、安福容疑の高羽さんへの“偏愛”は消えるどころか、むしろ拍車がかかっていきます。浪人中には、高羽さんが通う愛知大学まで押しかけ、そこで高羽さんから「君の気持ちには応えられない」と諭されると、突然号泣し始めたといいます。この出来事は、彼女の執着の深さを示すものでした。

その後、安福容疑者は別の形で幸せを掴みます。1歳年下の名古屋大学卒で、地元の一流自動車部品メーカーに勤務するエリート男性と結婚。事件から5カ月前の同窓会で高羽さんと再会した当時、彼女は10歳の長男と5歳の次男の子育てに励んでいました。しかし、高羽さんへの猛烈な自己アピールは、彼女が抱える理想と現実の間の葛藤の裏返しでもあったようです。

社会部記者によると、事件の約10年前、安福容疑者は重い血液の病を患っていた長女を亡くしています。当時の住まいは夫の実家で、小学校に上がる前に長女が病死したことに対し、同居していた夫の両親から叱責されたこともあったといいます。安福容疑者は周囲に思い悩む様子を見せていたとされ、長女の死を封印していた彼女は、高羽悟さんとの再会によって、心の奥底に秘めていた歪んだ情念を再び滾らせていったのでした。

片思いの相手に振られて号泣する安福久美子容疑者、被害者夫への恋心と事件前の家族問題片思いの相手に振られて号泣する安福久美子容疑者、被害者夫への恋心と事件前の家族問題

結論

長年の未解決事件に終止符を打った安福久美子容疑者の逮捕は、単なる犯人検挙以上の深い人間ドラマを浮き彫りにしました。高校時代からの秘めた恋心、その後の人生で経験した家族の悲劇、そしてそれらが複雑に絡み合い、被害者の夫・高羽悟さんへの「歪んだ偏愛」へと発展していった経緯は、事件の動機を理解する上で不可欠な要素です。この事件は、人間の情念が時にいかに深く、そして悲劇的な結末を招くかを示しています。

この続きは「週刊文春電子版」および11月20日(木)発売の「週刊文春」にて、さらに詳細な情報が報じられています。そこでは、「重い病気で長女が病死、コーチを付けて週1テニス」「一流メーカー勤務夫と優雅な老後『ヨーロッパ旅行に』」「悟さん『怪我した彼女を夫は疑わなかったのか』」といったトピックが詳しく解説されています。