11月20日、参議院外交防衛委員会において、小泉進次郎防衛相(44歳)と共産党の山添拓参院議員(41歳)の間で、防衛費の「透明性」と台湾有事を巡る活発な議論が交わされました。政府が掲げるGDP比2%への防衛費増額目標と、その急増する軍事費に関する説明のあり方が焦点となり、両者の見解の相違が浮き彫りになりました。この論戦は、日本の安全保障政策と情報公開のバランスについて、国民の間で新たな議論を呼び起こしています。
山添議員の疑問提起:軍事費増額と情報公開の必要性
山添議員は、政府がGDP比2%まで軍事費を増やす目標を掲げ、軍事費がかつてなく急増している現状に対し、その説明が不十分であると指摘しました。彼は、「軍事対軍事の対抗は終わりがなく、むしろ緊張を高め安全保障の悪化を招きます」と述べ、国防戦略の方向性に疑問を呈しました。さらに、弾薬の配置場所やミサイルの配備計画といった具体的な運用情報が十分に説明されていないことを強調し、「日本で透明な説明なんて到底されておりません」と小泉防衛相に回答を求めました。山添議員の質問は、防衛力の強化が進む中で、国民に対する情報公開のあり方を問うものでした。
小泉防衛相の反論:「安全保障の常識」と中国との比較
これに対し、小泉防衛相は、「具体的な自衛隊の運用に関わることを、詳細に明らかにすることは我が国の利益にならない。安全保障の“常識”ではないでしょうか」と断固として反論しました。防衛相は、このような情報の公開が国家安全保障上のリスクとなりうるとの認識を示しました。さらに、「中国はどこにどの武器が配備されているかを、透明性高く言ってるんでしょうか。まったく言っておりません」と述べ、他国の情報公開状況と比較することで、日本の情報非公開の正当性を主張しました。その上で、厳しさを増す安全保障環境において、「適切な抑止力と対処力を強化していく必要性を、透明性高く国民に説明することは重要」と結び、政策の根幹を国民に理解させることの重要性を強調しました。
小泉進次郎防衛相が国会で答弁する様子
国民の反応:YouTubeとXでの意見の分化
この国会論戦の様子はYouTubeでライブ配信され、チャット欄では小泉防衛相の答弁を評価する声が多数を占めました。「今の答弁うまかったなー!!」「いいぞ!シンジロー!」といったコメントが見られ、小泉氏の「安全保障の常識」という発言に対する擁護が目立ちました。
一方で、山添議員は委員会後、自身のX(旧Twitter)を更新し、「高市政権となって初めての外交防衛委員会で質問。雰囲気一変。与野党を問わず政府の軍備拡張路線に賛同し、『台湾有事』をめぐる首相発言を批判的に取り上げたのは私と公明党議員のみ。しかしこの間の一連の経過は、平和と安定のためには軍拡一辺倒でなくまともな外交こそ必要とむしろ鮮明にしている」と投稿しました。
しかし、山添議員のXのコメント欄には、彼の質問内容、特に「弾薬の場所を全て教えろ」という点に対し、「不適切ではないか」という批判的な意見が集中しました。「弾薬の場所を全て教えろと国会の場で自国の安全保障を危うくする発言をし『まともな外交』を語る説得力は、残念ながらゼロです」や「世界のどこに弾薬の所在を詳らかに公表してくれる国がいるのか教えて」「軍の機密を公開させようとする質問してて何ドヤってんの?」といったコメントが寄せられ、議論はさらに紛糾する形となりました。
結論
今回の参議院外交防衛委員会での小泉防衛相と山添議員による議論は、日本の防衛政策における透明性と国家安全保障のバランス、そして情報公開の範囲について深く問いかけるものとなりました。防衛費の増額と具体的な軍事情報の開示を求める声がある一方で、国家の安全保障に関わる機密情報の重要性を強調する意見も強く、国民の間でも様々な見解が示されています。この論戦は、日本の外交・防衛政策の方向性を巡る継続的な議論の一端を示しており、今後の展開が注目されます。




