《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」


【現場写真】〈秋田犬・テツとクマの死闘〉自宅の敷地内には黒ずんだ血飛沫が今もあちこちに飛び散っている

 10月19日深夜、岩手県栗原市の自宅のリビングで娘と一緒にテレビを眺めていたいつもと変わらぬ1日の終わり。まさか自分がクマ被害の当事者になるとは予想もしていなかったという。

「娘が『テツの鳴き声がおかしい』と私に言うんです。確かに、外でテツが吠えていたのですが、『ワンワン』っていう鳴き声だけじゃなくて、何かに攻撃されている時のように『キャンキャン』と言う鳴き声も混じっていた。それが交互に続いていて、そんな鳴き声は今まで聞いたことがなくておかしいな、と」(同前)

“テツ”は秋田犬の中でも希少価値が高いとされる「虎毛」という品種で、本名は鉄雲(てつくも)という。体高は70センチ以上、体重は43キロと恵まれた体格を持ち、現在6歳だ。「家系図」もある由緒正しい血統で、知人のブリーダーから「秋田犬を広めたい」という思いから譲り受けた、高橋家にとって2代目の秋田犬なのだという。

 初対面の記者を前にしても、テツは非常に静かで穏やかだ。自分より弱い相手には手を出さないといった「絶対王者」の風格すら感じる。

「たとえば他の犬に吠えられると、だいたいの犬って吠え返しますよね。でもテツは根っからプライドが高いので、『そんなに吠えたって、どうせ俺には勝てんだろう』って顔をして、強さをひけらかすこともなく、吠え返さないんです。近所でタヌキに鼻を引っかかれても対抗しない。本当に穏やかなんです。

 だからクマと闘うまで、本当のところは強いのかどうかも分からなかったんです」(同前)

 そんな無闇に吠えることがない穏やかなテツが、19日23時50分ごろに悲鳴のような声を発していたため、高橋さんは娘と外を確認しようと玄関に向かった。



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