特定の病気ではないのに心身の不調が続く、虚弱体質の人たちがいる。ある女性は「20代なのに身体はまるで老人のような身体」と表現する。日常生活に一体どんな支障があるのか。30歳女性の「虚弱エッセイ」をお届けする――。(第1回/全2回)
※本稿は、絶対に終電を逃さない女『虚弱に生きる』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
■「硬すぎて、もはや人間の首じゃない」
巷でよく言われる「中年になるとガクッと体力が落ちる」というやつが、21歳で来てしまった。
それ以前も人と比べれば体力がなく疲れやすいほうだったとはいえ、身体の不調はまだ少なかったし、最低限の日常生活に支障をきたすほどではなかった。
大学3年の秋頃から、一日12時間くらい眠ってしまうようになったのが始まりだったと思う。
やがて入眠困難と過眠が併発するようになり、もともとは規則正しかった生活リズムが崩壊した。思春期から続いていた倦怠感や抑鬱も悪化し、何をするにも動作が重く、動き始めるまでに信じられないほど時間がかかるようになった。睡眠中の食いしばりと歯ぎしりも酷くなり、顎が痛んだ。
全身の筋肉が凝りすぎて、毎日背中の痛みとともに起床するようになった。うがいをしようとすると、首と肩が凝り固まりすぎて肩を一緒に上げないと顎を上に向けることができず、背中が悲鳴を上げていた。
毎日湯船に浸かるようにしたところ、上を向いた時の背中の痛みは消えたものの、整骨院に行ってみたら「筋肉が硬すぎる。ちゃんと毎日お風呂に浸かって」と言われ、「浸かってるんですけど……」と返すと「浸かってこれ⁉」と驚かれた。首に至っては、「硬すぎて木みたい。もはや人間の首じゃない」とまで言われた。
■謎の発熱、頭痛、腰痛、関節痛、不眠…
ほぼ毎日毎食後腹痛があり、お腹がギュルギュル鳴って、下痢を繰り返し、痔になった。食事中に吐き気を催すこともしょっちゅうだった。謎の微熱、発熱も多かった。2時間以上パソコンの画面を見ると頭痛や腰痛がするようになった。
注意力や集中力が下がって物忘れなども酷くなり、日常でのケアレスミスが頻発してますます体力を消耗する悪循環に陥っていた。
友達とお茶をしたり飲み会に参加したりすると、2時間くらいで首や腰が痛くなった。そんな日の夜は決まって眠れなかった。疲れれば疲れるほど眠れなかった。翌日も食事と睡眠以外何もできないくらい疲れが残るようになった。
以上のような慢性的な不調に加えて、あらゆる不調が次から次へと襲いかかってきた。
手首や股関節などの軽い関節痛は子供の頃からよくあったが、ある時猛烈に手首が痛くて整形外科に行ったら、軽度の頸椎椎間板ヘルニアと診断された。






