2025年11月21日に公開された細田守監督の最新作「果てしなきスカーレット」。SNSでは「懲役112分、罰金2000円」とささかれるほど、酷評レビューが目立っている。こうした口コミは公開初日から爆発的に拡散されており、興行収入にも大きな影を落としている。
【画像】ガラガラすぎる…「果てしなきスカーレット」の空席っぷりに驚いた
前作の「竜とそばかすの姫」は、公開から3日間の累計動員60万人・興収8億9000万円を記録した一方、「果てしなきスカーレット」は、公開から3日間の累計動員は13万6000人・興収2億1000万円にとどまっている。
6億8000万円にも及ぶ差は、なぜ生まれてしまったのか。前作を振り返りつつ、細田守監督ファンが離れてしまった理由を考察していく。
■コロナ禍という逆境で興収66億円を記録した「竜とそばかすの姫」の評価
2021年7月の公開当時、大ヒットスタートを記録した「竜とそばかすの姫」。同作は、「時をかける少女」以来となる女子高生ヒロインを描いた作品だ。
細田守監督の金字塔である「サマーウォーズ」におけるOZ(オズ)のようなインターネット世界<U(ユー)>を舞台に、主人公・鈴の成長を描く。
本作最大の魅力は、迫力の映像と力強くも美しい歌声を伴った音楽にある。キャラクターの心理描写やストーリーには物足りなさを感じるものの、映像・音楽のクオリティの高さに「良い映画体験だった」と感じた人も多いはずだ。こうした要素が興行収入を押し上げる結果となった。
そんな「竜とそばかすの姫」のテーマとなったのは「美女と野獣」。映画を観た人ならわかると思うが、美女=ベルと野獣=竜のダンスシーンの映像美はまさに圧巻だった。モチーフのわかりやすさや引きとなるダンスシーンが魅力的だった点も、興収を伸ばした要因といえる。
映像と音楽という2つの要因が多くの観客に刺さった結果、コロナ禍という逆境であったにもかかわらず、最終興行収入66億円という記録をたたき出したのだ。
こうした記録は一見華やかに見えるが、一方で本作を持って「細田守作品に見切りをつけた」と話す観客も少なくない。
■「時をかける少女」や「サマーウォーズ」と、近年の作品群の違い
さて、どうして細田守監督作品から多くの観客が離れる結果となったのか。そこには、「時をかける少女」や「サマーウォーズ」からの変化が影響している。細田守監督作品を追いかけ続けているファンには当然の事実かもしれないが、実はかつて栄光を誇った作品群と近年の作品群では「脚本家」が違うのだ。






