国民的お笑いタレント、明石家さんまが長年貫いてきた「ネットは敵」という信念が今、大きく揺らいでいる。年末恒例の国民的特別番組『明石家サンタの史上最大のクリスマスプレゼントショー』(フジテレビ系)の放送見送りが決定したことを受け、さんま自身がまさかの「配信化」に言及したのだ。これは、40年以上テレビの世界で生きてきたテレビの申し子が、新しいメディアの波にどう向き合うかという、彼自身のキャリアそして日本のエンターテインメント業界全体にとっての大きな転換点となるかもしれない。
揺れ動く明石家さんまの姿
配信プラットフォームへの言及と新たな可能性
11月29日のMBSラジオ『ヤングタウン土曜日』で、『明石家サンタ』の放送見送りについて語ったさんまは、その“受け皿”として吉本興業の配信プラットフォーム『FANYチャンネル』に触れた。吉本側からの打診もすでにあり、来年には配信として復活する可能性を示唆したという。
さらに注目すべきは、松本人志が立ち上げた『DOWNTOWN+』を念頭に置き、「俺の“さんちゃんマイナス”とか作れば、そこでやろうと思えばできるんですけども」と、自身独自の配信サービス立ち上げにまで言及したことだ。ただし、彼はその可能性を「かも」という言葉で濁しており、自身の過去の発言との間にジレンマを抱えている様子がうかがえる。
「ネットは敵」の過去と葛藤
さんまはこれまで一貫してネットメディアに否定的な立場を取ってきた。「俺はネットをやらないと決めてる」「テレビの敵や」と公言し、40年以上にわたりテレビの世界で生きてきた誇りを語ってきた。
かつては、可愛がっていた後輩である元雨上がり決死隊の宮迫博之がYouTubeを始めた際も、「金積まれても出んわ!」と断固として出演を拒否したほどだ。 2020年5月、今田耕司や東野幸治など多くの芸人がYouTubeに進出する中でも、「俺がYouTube出たらアカンやろ。テレビで生きてきた人間が。テレビを守ろうとしてるからな、俺は」と、自身の信念を強調していた。
しかし、『明石家サンタ』の見送りに際して、視聴者からの残念がる声があまりにも多く寄せられたことで、さんまの心境に変化が生まれたと見られる。長年の信念とファンの期待との間で、彼は今、深く揺れ動いているのだ。
松本人志の成功と芸能界の転換点
芸能プロ関係者は、このさんまの動向を「さんまさんの一大転機、いや芸能界のターニングポイントになるかもしれない」と指摘する。 松本人志の『DOWNTOWN+』が11月1日の始動からわずか3週間で加入者50万人を突破したことからも、配信サービスの需要は極めて高いことがわかる。
さんまのような圧倒的なコンテンツパワーと長年の“ファン資産”を持つ人物が独自の配信サービスを立ち上げれば、『さんちゃんマイナス』も成功する可能性は十分にあるだろう。 テレビの最後の砦ともいえる巨星が、ついに配信時代へと舵を切り始めるのかもしれない。これは日本のエンターテインメント業界全体に大きな影響を与える出来事となるだろう。
長年「テレビの顔」として君臨してきた明石家さんまが、伝統的なテレビ放送から配信への移行を検討していることは、彼のキャリアだけでなく、日本の芸能界全体にとって歴史的な一歩となる。視聴者の多様な視聴スタイルに対応し、新たな価値を創造しようとするさんまの決断は、今後のメディアのあり方を大きく変える可能性を秘めている。テレビとネットの境界線が曖昧になる中、彼の次なる一手が注目される。





