「なんとなく息苦しい」「片方の胸が痛い気がする」。
そんな小さな違和感を抱えながらも、忙しさなどを理由に放置してしまう人は少なくないだろう。20代前後の若い人でも“ある日突然”息苦しさや胸の痛みに襲われるケースがあるという。
“息苦しさ”の裏側には、どんな病気が隠れているのだろうか。考えられる病気の種類やその治療法などについて、玉川病院 気胸研究センター長・呼吸器外科部長の坪島顕司医師に聞いた。
■「息苦しい」は病気のサイン
一口に「息苦しさ」といっても、程度も表れ方もさまざま。坪島医師によれば、20代前後の若い世代で「息苦しさ」を伴う呼吸器疾患といえば、およそ3つに分類ができるという。
肺炎と喘息、そして気胸(原発性自然気胸。以下、自然気胸)だ。それぞれ、どう違うのか。坪島医師から聞いた内容をまとめるとこうなる。
まず、肺炎から。肺炎にもいろいろな種類あるが、ここで紹介するのは細菌感染によるものだ。高熱や咳、痰を伴いながら、“徐々に息苦しさが強くなっていく”傾向がある。
一方、喘息はヒューヒュー、ゼーゼーといった気道が狭くなったときに出る呼吸音(喘鳴:ぜんめい)が特徴的。“人によっては徐々に、あるいは突然に息苦しさが強まる”。
自然気胸は前触れがほとんどなく、“ある日突然、急に片側の胸が痛く、息苦しい“といった症状に見舞われる。「肩や背中が痛む」「深呼吸をすると胸が痛い」「突然、息が吸いづらくなる」「動いていなくても息苦しさが続く」などの症状が出ることもある。
ところで、自然気胸とはいったいどんな病気なのだろうか。
坪島医師は、「自然気胸は、なんらかの理由で肺の表面の一部に『ブラ(嚢胞)』と呼ばれる数ミリ〜数センチの薄い袋ができ、それが破裂することで、肺から空気が漏れる病気」と説明する。
「発症のピークは23歳で、15歳ぐらいから増えてくるので学生さんが多く、試験期間中に発症する人もいます。精神的なストレスとの関係もよく指摘されますが、発症の詳しいメカニズムはまだよく解明されていません」
ブラは自然に消えることはないが、穴は閉じることがある。そうすれば空気は漏れなくなるし、漏れた空気自体も体に溶け込んで消えるため、しばらくすると息苦しさや痛みが治まる。そのため、“気のせいだろう”と放置し、知らない間に再発を繰り返しているケースもあるという。






