日本の土地が危ない?外国人による「無制限」不動産買収問題の深層

外国人による日本の土地取得が加速しており、その実態は経済安全保障上の懸念として深刻化しています。国防施設や水源地周辺の土地が外国資本の手に渡るケースも報告され、一時的に規制強化の動きが見られましたが、特定の政治的介入により実現には至っていません。本稿では、日本が直面するこの外国人土地買収問題の歴史的背景と国際法上の課題、そして他国との不平等を深く掘り下げます。

歴史に名を残す「外国人土地法」とその変遷

日本の土地取得規制は、戦前からの歴史的背景を持っています。1925年施行の「外国人土地法」は、国防上必要と判断される特定地域内の土地取得を制限できると明確に規定。翌年には陸海軍大臣の許可を義務付ける施行令も制定され、外国人の土地取得を厳格に管理していました。しかし、1945年の終戦で施行令は廃止され、外国人土地法自体は死文化しつつも、法としては存続しています。
戦後も1949年の政令で大蔵大臣の認可が必須とされましたが、1979年の法改正でこれも廃止され、規制は緩和の一途を辿りました。

日本の土地利用と外国資本による買収問題を示す概念図日本の土地利用と外国資本による買収問題を示す概念図

GATS協定と日本の「無制限」不動産取得

現在、外国人による日本の不動産取得を自由にしている主要因は、1994年に締結されたWTO(世界貿易機関)のGATS(サービスの貿易に関する一般協定)協定です。この協定は不動産売買を含み、日本は署名時、「制限なし」で外国人による土地取得を認める条件を選択しました。この決定が、外国資本による日本国内の不動産自由買収という、潜在的な安全保障上のリスクを招く事態を生んでいます。

現代の「不平等条約」:国際社会における日本の立場

海外の多くの国では、外国人による不動産売買に対し条件を設けるか、あるいは一切認めない姿勢を取っています。例えば韓国はGATS協定に「条件付き」で署名し、中国は外国人の不動産取得を「認めない」方針です。GATS協定は各国が状況に応じて条件を設定可能でしたが、日本はオランダなど少数派と共に、制限なく外国人による不動産取得を許容しています。この国際的な特異性は、かつての不平等条約を想起させる深刻な問題として認識されるべきです。

国際条約の壁と政府の無策:喫緊の課題への対応

GATS協定のような国際条約は国内法より上位にあるため、単純な国内法による外国人土地取得の禁止は、国際司法裁判所からの提訴リスクを伴います。
この状況を根本的に改善するには、日本がGATS協定に署名した条件を改正する必要があります。これは約30近い関連条約の改正と国内法整備を伴う極めて困難な作業です。しかし、明治政府が不平等条約改正に取り組んだように、現行政府も喫緊の課題としてこの重大な失態に向き合うべきです。残念ながら、現在の政府にはこの問題への積極的な取り組みが見られないのが現状です。

外国人による日本の土地買収問題は、経済活動を超え、国家安全保障と主権に関わる重大な課題です。歴史的経緯とGATS協定の特殊な署名条件が絡み合い、容易な解決策は見出せませんが、この「現代の不平等条約」を放置すべきではありません。政府は、困難を伴うとしても国際条約改正と国内法整備に向けた断固たる姿勢を示し、日本の国土と国民の安全を守るための具体的な行動を早急に開始すべきです。


参考文献