来る参議院選挙の比例代表で、タレント候補が話題となるのは恒例ですが、今回特に注目を集めているのが、社会民主党(社民党)から新人として立候補を表明したラサール石井氏(69)です。結党80年を迎えながらも現在“崖っぷち”とされる老舗政党からの出馬は、多くの憶測を呼んでいます。一体なぜ、彼は社民党を選んだのでしょうか。
参院選出馬を表明したラサール石井氏
崖っぷち「老舗政党」社民党の現状
かつて野党第1党として自由民主党と対峙し、首相も輩出した経験を持つ社民党は、その輝かしい歴史とは裏腹に、近年著しい凋落を見せています。現在の国会議員は参議院の福島瑞穂党首(69)を含めわずか3人。今回、そのうち1人が改選期を迎えます。2024年の衆議院選挙の比例代表では、得票率がわずか1.71%に留まりました。
政治部記者によると、社民党は今、まさに“正念場”に立たされています。今回は知名度の高い福島議員が改選対象ではないため、これまで以上に集票が厳しい状況です。このままでは政党要件を満たせず、政治団体へと転落してしまう可能性すら指摘されており、まさに「崖っぷち」の状況にあると言えるでしょう。
ラサール氏出馬の背景と井筒監督のエール
ラサール石井氏が社民党からの新人候補として立候補を表明したのは、2024年6月30日のことでした。「コント赤信号」のメンバーであり俳優としても活躍する彼は、近年は主に自身のX(旧Twitter)を通じて、積極的に政治的な意見を発信し続けてきました。彼の出馬は、政界だけでなくエンターテインメント界にも大きな反響を呼んでいます。
長年の知己である井筒和幸監督は、ラサール氏の出馬について「キッチュ(俳優の松尾貴史氏)から聞いたときは“やった!”って気持ちでしたよ。今までは選挙なんて誰が行くかと思っていましたが、今回は行ってもいいかもしれない。庶民を蔑ろにする税金泥棒の政治家どもを糾弾して、グダグダな政治を根本から変えてひっくり返してほしい。大応援しますよ」と、熱いエールを送っています。井筒監督の言葉からは、現状の政治に対する強い不満と、ラサール氏への変革への期待が読み取れます。
「れいわ新選組」を選ばなかった理由の深層
ラサール石井氏はこれまで、れいわ新選組の山本太郎代表の実績を評価するなど、同党に対し一定のシンパシーを示してきました。実際、2022年の参議院選挙では、れいわから出馬した水道橋博士を熱心に応援していた過去もあります。それにもかかわらず、今回れいわ新選組ではなく社民党を選んだ理由については、様々な推察がされています。
前出の記者は、その背景に水道橋博士と山本氏の関係性があると見ています。今年3月のデモで両者が会った際、ほとんど言葉を交わさなかったという情報があり、これがラサール氏の判断に影響を与えた可能性を指摘しています。ラサール氏自身も出馬会見で「れいわからは誘いがなかったし、こちらから出馬しようとも思わない」と述べており、芸人仲間である水道橋博士が選挙を経て山本氏と一定の距離を置いていることが、自身の選択にも影響したのかもしれません。
まとめ
ラサール石井氏が「崖っぷち」とされる社民党から参議院選挙に立候補することは、多くの人々に驚きと注目をもたらしています。彼のこれまでの政治的発信や、井筒監督のような著名人からの応援は、世論に一定の影響を与えるでしょう。また、かつて支持を示していたれいわ新選組ではなく社民党を選んだ背景には、党の状況だけでなく、彼を取り巻く人間関係や政治スタンスの変化も垣間見えます。この出馬が、社民党の命運、ひいては日本の政治情勢にどのような影響をもたらすのか、今後の選挙戦の動向が注視されます。