池袋ガールズバー「イーウェーブモーニング」で管理売春容疑、店長と従業員逮捕:暴行とGPS監視の実態

警視庁は15日、東京・池袋のガールズバー「イーウェーブモーニング」の店長である鈴木麻央耶容疑者(39)と従業員の田野和彩容疑者(21)を、女性従業員に日常的に暴力をふるい、今年5月から7月にかけて新宿区の大久保公園周辺の路上などで売春させたとして、売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕したと発表しました。両容疑者は共謀し、今年4月からは女性従業員に対し「売春しろ」と指示を繰り返していたとされています。

3カ月で400人、被害女性を蝕んだ「管理売春」の実態

警視庁保安課の発表によると、鈴木容疑者と田野容疑者は、20代の女性従業員を店内に寝泊まりさせ、さらにGPS装置でその位置情報を常時監視していました。被害女性は大久保公園の路上で客待ちを強いられ、売春をさせられていたといいます。このわずか3カ月間で、被害女性は実に400人もの客と売春をさせられ、約600万円もの売上を上げていました。しかし、その稼ぎのほとんどは、逮捕された2人の容疑者のもとへ送金されていたとみられています。

被害女性が住んでいた住居は、店長の鈴木容疑者が昨年11月に無断で解約。その後、女性は店のわずか1畳ほどのバックヤードで寝泊まりさせられていたことが明らかになりました。

社会部記者の話によれば、被害女性自身も今年7月、大久保公園付近の路上で客待ちをしていた際に売春防止法違反で逮捕されていました。当初の取り調べでは「生活費のため」と嘘の証言をしていましたが、約1カ月後には「指示を受けていた」と管理売春の実態を告白。逮捕時には、被害女性の身体には20カ所以上もの打撲痕が見つかっており、心身ともに疲弊し、誰にも相談できない状態だったと報じられています。

被害女性が池袋のガールズバー「イーウェーブモーニング」で働き始めたのは、昨年9月のことでした。この店舗は午前5時から午後8時まで営業しており、別のガールズバー店舗の場所を「間借り」して営業していたとされています。働き始めて1カ月後、売上が伸び悩んだ被害女性は、鈴木容疑者や田野容疑者から「ブスで客がつかないから風俗で働くか立ちんぼするか選べ」といった心ない言葉を浴びせられるようになったといいます。

池袋のガールズバー「イーウェーブモーニング」の看板と従業員の田野和彩容疑者池袋のガールズバー「イーウェーブモーニング」の看板と従業員の田野和彩容疑者

ガールズバー「イーウェーブモーニング」の裏側:元従業員が語る闇

「イーウェーブモーニング」でかつて働いていた元従業員のAさんが、この店の内情を証言しています。Aさんによると、「イーウェーブモーニング」は2020年にオープンした店で、時給制度がなく、完全歩合給システムを採用していました。売上が多ければ多いほど収入が増える一方で、売上がなければ給与はゼロという過酷な環境だったとのこと。「貢献していないなら店にいても意味がない」という言葉が飛び交い、これまでにも多くの従業員が辞めていったといいます。

被害女性もまた、「ブスで売上もないくせに」と店長や田野容疑者から客の目の前で怒鳴りつけられたり、非常階段に呼び出されてシャンパンの瓶で頭を殴られたり、蹴られたりするなどの日常的な暴行を受けていたとAさんは明かしています。

Aさんが勤務していた当時、店には被害女性を含め5人の女性キャストが在籍していました。今回逮捕された従業員の田野容疑者も「マイカ」(源氏名)としてカウンターに立ち、接客にあたっていたとのこと。同店の料金システムは、1時間3000円の飲み放題でしたが、女性従業員へのキャストドリンクは1杯3000円からと、高額な設定となっていました。この売上(会計)の半分ほどが、キャストの給与として支給される仕組みだったそうです。

池袋のガールズバーでナンバーワンだった田野和彩容疑者(マイカ)の接客時の姿池袋のガールズバーでナンバーワンだった田野和彩容疑者(マイカ)の接客時の姿

ナンバーワン・キャスト「マイカ」こと田野容疑者の支配と搾取

Aさんの証言によれば、「イーウェーブモーニング」での売上1位は常に「マイカさん」(=田野容疑者)でした。他のキャストが彼女の売上を超えることは一度もなかったといいます。田野容疑者は昨年夏ごろにマネージャーに昇格し、店の純利益の一定割合が自身に入る仕組みになったことで、より一層、他の従業員への指導に熱心になったとされています。

経験の浅いキャストに対しては、客とのLINEの返信方法など、「色恋営業」寄りの具体的な文面まで田野容疑者が細かく教えていたとのこと。営業時間外のアフターも、戦略の一つとして積極的に勧めていたといいます。売上のあるキャストは出勤時間が比較的自由で、Aさんも指名の時間に合わせて昼過ぎから出勤することがあったそうですが、今回の被害女性はオープンからラストまで店にいるよう指示されていたといいます。さらに、体型維持を理由に田野容疑者が被害女性の食事管理を行い、レシートで食事内容を確認していたという衝撃的な事実も明かされました。

結論

今回の池袋ガールズバー「イーウェーブモーニング」における管理売春事件は、劣悪な労働環境と精神的・肉体的搾取の実態を浮き彫りにしました。被害女性が受けた暴行やGPSによる監視、そしてわずか1畳のバックヤードでの生活は、人権侵害の深刻さを示しています。また、店長と従業員が共謀し、利益のために女性を搾取する構図は、社会の闇の一端を露呈するものです。警察によるさらなる捜査と、同様の被害が二度と起きないよう、社会全体での監視と啓発が求められます。

参考文献

  • 警視庁保安課発表資料 (Police Department Security Division press release)
  • 社会部記者による情報提供 (Information provided by a social affairs reporter)
  • 元従業員Aさんの証言 (Testimony of former employee A)