過去に性加害事件を起こし、有罪判決を受けた俳優たちが芸能界への復帰を試みる動きが、日本と韓国で相次いで報じられています。日本では俳優・新井浩文氏が7年ぶりに舞台復帰を果たすと発表され、世論は賛否両論に分かれています。これと時を同じくして、韓国では改名して舞台復帰を図った俳優がSNSでの告発によりわずか1日で降板に至るという出来事がありました。これらの事例は、性加害問題に対する社会の厳しい眼差しと、芸能界における再出発の難しさを浮き彫りにしています。
新井浩文、7年ぶりの芸能活動再開に賛否
俳優の新井浩文氏は、2018年に派遣型マッサージ店の女性従業員に対し自宅で乱暴したとして、2019年に強制性交罪で逮捕されました。被害者女性との和解は成立したものの、2020年には懲役4年の実刑判決が言い渡されています。この度、新井氏は2025年12月から公演される赤堀雅秋氏作・演出の一人芝居『日本対俺2』にゲスト出演することが決定しました。
新たなX(旧Twitter)アカウントを通じて、《お時間ある方は是非。お好きな日に遊びに来て下さい》と復帰を告知した新井氏ですが、性加害による過去の印象が色濃く残る中での7年ぶりの芸能活動再開は、世間で大きな波紋を呼んでいます。SNS上では、彼の復帰を歓迎する声がある一方で、性犯罪に対する社会の厳しい姿勢から批判的な意見も多数寄せられており、賛否が真っ二つに分かれる状況です。
性加害事件で有罪判決を受けた俳優・新井浩文
韓国演劇界の「改名復帰」騒動と即座の降板劇
日本の新井氏の事例とほぼ同時期に、韓国の演劇界でも同様の性加害を巡る復帰騒動が発生しました。2025年11月11日、『KOREA WAVE』は、11月に公演予定だった舞台『ザ・ファーザー』の出演者を巡るトラブルを報じました。
事の発端は、11月5日にSNSに投稿された情報でした。そこには、《演劇界でMeToo加害者として摘発されたイ・ミョンヘンがイ・フニョンという名前で復帰するという情報を受けた》とのコメントと共に当該俳優の写真が拡散され、瞬く間に注目を集めました。舞台に出演予定だった「イ・フニョン」と名乗る俳優が、実は2018年に舞台スタッフへの性加害行為で告発された「イ・ミョンヘン」であったことが判明したのです。つまり、彼は名前を改変し、過去を隠蔽するかのように舞台に立とうとしていたとされます。
韓国エンタメ事情に詳しい芸能ライターによると、舞台制作サイドは公募オーディションを通じて俳優を選出しており、プロフィールや映像審査、最終面談は行われたものの、各俳優の過去の経歴については深く検証していなかったと説明しています。しかし、SNSでの告発発覚後、即座に関係者間で話し合いが行われました。結果、「いかなる暴力も芸術の名のもとに正当化されることはない」という声明とともに謝罪し、わずか1日で「イ・フニョン」の降板が決定されました。
性加害からの復帰、問われる社会の許容度
日本と韓国で相次いで報じられたこれらの復帰騒動は、性加害という問題に対し社会が抱く厳しい視線を浮き彫りにしています。公の場への復帰を試みる者には、過去と真摯に向き合い、信頼を再構築する長いプロセスが求められることが示唆されました。特に芸能界においては、その影響力の大きさから、社会的な許容度が厳しく問われ続けるでしょう。





