派閥の裏金事件により、参議院議院運営委員会などから「出禁」の状態が続いている佐藤啓官房副長官(46)は、他にも金銭問題を抱えていると報じられています。岸田政権下での政務官辞任後も、その動向が注目される中、高市早苗氏による異例の要職起用が波紋を呼んでいます。野党は強く反発し、国会召集から3週間経っても、佐藤氏の出席が認められない異常事態が続いています。
裏金問題と安倍元首相銃撃事件への関与
佐藤氏は2016年の参議院選挙で奈良選挙区から初当選し、故安倍晋三元首相が率いた安倍派に所属していました。2022年の参議院選挙では2期目を目指しましたが、その遊説中に安倍元首相が凶弾に倒れるという悲劇に見舞われました。佐藤氏は、先日の山上徹也被告の裁判に証人として出廷した際、「私のせいで安倍先生の命を失ってしまった」と語ったとされています。
この銃撃事件から1年半後、政界を揺るがせたのが、自民党派閥の裏金事件でした。当時、財務大臣政務官を務めていた佐藤氏もこの問題に関与し、政務官を辞任。最終的に、収支報告書に記載されていなかった金額は306万円にも上りました。収支報告書には銀座のワイン専門店などへの支出が追記されており、裏金がワインの購入に使われたとも取り沙汰されました。当時、佐藤氏はX(旧ツイッター)でコメントを発表するに留まり、メディアからの取材対応は行いませんでした。
佐藤啓官房副長官の現状
高市早苗氏が佐藤啓氏を要職に起用した理由
裏金問題に関与し、国会での審議を欠席せざるを得ない状況の佐藤氏を、高市早苗首相はなぜ官房副長官という要職に起用したのでしょうか。高市氏は裏金議員について「選挙で厳しい審判を受けた」と述べていますが、佐藤氏は非改選議員であったため、今回の選挙で直接審判を受けたわけではありません。この点が野党からの強い反発を招いています。
高市氏と佐藤氏は同じ奈良県を地盤とし、総務相経験者である高市氏は、元総務官僚の佐藤氏の政策立案能力や調整能力を高く評価しているとされます。安倍元首相の慰霊碑を高市氏の意向で見晴らしの良い高台に計画した際も、「現場から遠すぎる」という反対意見が多数あったものの、佐藤氏の尽力で建立が実現した経緯があります。高市氏は佐藤氏を「耳の痛いことも私に言ってくれる」と評していると伝えられています。
「高市氏を勝たせた」という佐藤氏の自負
佐藤氏自身も、周囲には高市氏への影響力を示唆する発言を漏らしているといいます。彼は「高市さんの政策や想定問答は私が書いている」「靖国への参拝を見送ったのも私がコントロールしているから」と語り、さらに高市氏の「メイクも変わったでしょ。あれも私が変えさせた」とまで言及したとされています。
官邸関係者によると、佐藤氏は「自分が高市氏を勝たせた」という強い自負を抱いており、安倍元首相の死などを経てようやく手にした重要ポストであるため、辞任するつもりはないようです。しかし、彼を巡る金銭問題は裏金事件だけに留まらないとの指摘もあり、今後の展開が注目されます。
止まらない「金の問題」と今後の展望
佐藤啓官房副長官を取り巻く金銭問題と国会での「出禁」状態は、政権運営にとって大きな課題となっています。高市氏が佐藤氏を起用した理由と、佐藤氏自身の高市氏への影響力に関する発言は、今後の政治情勢にどのような影響を与えるのでしょうか。裏金問題だけでなく、さらに指摘される「金の問題」の具体的な内容についても、引き続き関心が高まると考えられます。この異常な事態が、今後の国会審議や世論に与える影響は計り知れません。
参考文献:





