社会学者の古市憲寿氏は2025年8月18日、自身のX(旧Twitter)上で、フジテレビと中居正広氏を巡る一連の問題に関する第三者委員会の調査報告書に対し、深い疑念を表明しました。特に、人気歌手で俳優の福山雅治さんが同委員会の報告書に記載された「男性有力番組出演者」であったことを公表した件を受け、古市氏の報告書への批判はさらに強まっています。
福山さんの所属事務所アミューズは、週刊誌「女性セブン」の独占取材に対し、第三者委員会から福山さんへのヒアリング協力要請があったことを認めました。フジテレビ元専務の大多亮氏が主催した懇親会に福山さんが参加していたことは事実としながらも、「あくまで仕事先の会食にお招きいただいたとの認識のもと出席させていただいた次第であり、一連のフジテレビ問題で取りざたされているような問題はありませんでした」と説明し、自身の関与は問題ないと強調しています。
古市氏はこれらの報道を受け、「福山雅治さんのニュース。さすがに『何かおかしい』と多くのひとが気づくきっかけになればいいと思う」とXに投稿しました。かねてより第三者委員会のあり方に否定的な見解を示してきた古市氏ですが、今回の福山さんの公表がその懸念を一層深めたようです。
古市氏は、「法律家で構成されるはずの第三者委員会が、法や時効を無視して、誰かを断罪する引き金を軽々しく引いてしまう。あんな報告書を出した竹内朗弁護士に仕事を頼む人、これからいるのかな」と、委員会報告の法的根拠と公平性について厳しく問いかけています。
社会学者の古市憲寿氏。フジテレビ第三者委員会への厳しい批判で注目を集める。
第三者委員会の報告書「不適切な会合」記述への具体的指摘とメディア批判
古市氏は続く投稿で、フジテレビ第三者委員会の報告書における「不適切な会合」に関する記述を「本当にひどい」と断じています。彼は、報告書が「『想定される』とか『想像に難くない』とか『可能性もある』とか、書き手の妄想に依拠した記述がやたら多い」と具体的に指摘し、客観性に欠ける点を問題視しました。さらに、「そもそも『不適切な会合』という表現が曖昧」であるとし、「よくこんな報告書を記者会見までして発表できたなと思う」と、その内容と発表形式の両方に強い疑問を呈しました。
また、NHKが「福山雅治氏 フジ幹部がアナウンサーを同席させた会合に出席」と報じたことについても、古市氏は「NHKで報道する公共性のあるニュースなのだろうか」とメディアの報道姿勢に疑問を投げかけました。彼は、「一つ言えるのは、今回福山さんを批判している人やメディアは、全てブーメランで自分に返ってきてもおかしくないよってこと」と述べ、「『快』や『不快』で他人を断罪できるなら、誰をおとしめることもできるわけだから」と、世論やメディアによる一方的な断罪の危険性について強く警鐘を鳴らしました。
古市憲寿氏の一連の発言は、第三者委員会の調査報告書の信頼性、公共放送を含むメディアの報道倫理、そして現代社会における「断罪」のあり方について、私たちに深く考えるきっかけを与えています。特に、公表された情報に基づかない憶測や曖昧な表現が社会に与える影響は小さくなく、今後同様の問題が起きた際の調査や報道のあり方が改めて問われることになりそうです。
参考文献:
- J-CASTニュース「古市憲寿氏、フジテレビ第三者委に疑念『福山雅治さんのニュース。「さすがに何かおかしい」と多くのひとが気づくきっかけになればいい』」 (Yahoo!ニュース経由)
- J-CASTニュース「古市氏批判、第三者委は「誰かを断罪する引き金を軽々しく引いてしまう」」
- アミューズ オフィシャルサイト (福山雅治氏に関する発表)
- X (旧Twitter) 古市憲寿氏公式アカウント