日産追浜工場の車両生産終了が地元に衝撃:神奈川経済への広範な影響と各市の対応

経営再建を進める日産自動車が、神奈川県横須賀市の追浜工場における車両生産を2027年度末に終了すると発表した15日、長年にわたり地域経済を支えてきた工場の方針転換は、地元に大きな落胆と衝撃を与えています。子会社である日産車体の湘南工場(平塚市)でも日産車の生産終了が明らかになり、この決定が神奈川県全体の経済に及ぼす影響は避けられない見通しです。

日産追浜工場の歴史と地域経済への貢献

日産自動車のイバン・エスピノーサ社長は15日午後、追浜工場を訪れ、従業員数百人に対し直接、車両生産終了の決定を伝えました。1961年の操業開始以来、追浜工場は横須賀経済の中心的存在であり、約2400人の雇用を創出し、これまでに「ノート」などの大衆車を1780万台以上生産してきました。工場関係者からは「厳粛に受け止めた。従業員のサポートを最大限してほしい」との声が聞かれ、今後の推移が注視されています。

日産追浜工場、2027年度末の車両生産終了決定後の工場外観日産追浜工場、2027年度末の車両生産終了決定後の工場外観

「企業城下町」横須賀の落胆と懸念、そして各市の対応

追浜工場の生産終了は、「企業城下町」として栄えてきた横須賀市全体に広範な影響を及ぼすことが懸念されています。日産の下請け企業に部品を納入する岡田電機工業の岡田英城社長(64)は、「人気車種が出れば注文増につながる期待があったが、そのチャンスさえなくなる」と述べ、失望感を露わにしました。工場近くの弁当店店長も「歴史ある特別な存在で、経営への打撃も大きい」と語り、ショックの大きさを滲ませています。

横須賀市の上地克明市長は、工場跡地の活用を含め、日産に速やかな公表を求めるとともに、「影響が最小限となるよう、支援と対応に全力を尽くす」とコメント。横須賀商工会議所の平松広司会頭は、従業員が解雇された場合の対策の必要性を指摘し、具体的な動きがあれば説明会を開催する意向を示しました。

横浜市の対策本部設置と広がる影響の波紋

日産が本社を構える横浜市でも、15日夕に対策本部が設置され、緊急会議が開催されました。市は、日産と取引のある市内中小企業約800社を対象に、経営や資金繰りに関する相談を受け付ける日産特化の「特別経営相談窓口」を16日にも設置する方針を決定しました。

日産の生産終了発表を受け、横浜市役所で開かれた対策本部会議の様子日産の生産終了発表を受け、横浜市役所で開かれた対策本部会議の様子

みなとみらい地区にある日産本社ビルの売却案も浮上しており、今回の決定は横浜市経済にも広範な影響をもたらす可能性が懸念されています。山中竹春横浜市長は、追浜工場での生産終了について「裾野が広い自動車産業において非常に遺憾」との認識を示し、「関連企業や従業員に寄り添い、市が一丸となって支援していく」と強調しました。

今回の生産終了決定は、日産自動車の経営再建策の一環ですが、その影響は神奈川県内の地域経済、雇用、そして関連企業に深く及びます。各自治体は連携し、今後の影響を最小限に抑えるための具体的な支援策を速やかに実行することが求められています。

参考資料