習近平は明らかに焦り始めている…高市首相が「鹿を馬と呼ぶ」中国をぎゃふんと言わせるための4つの切り返し


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■高市首相の現実的な安全保障論を「軍国主義」にすり替え

 「その汚い首を躊躇なく切り落とす」

 薛剣・中国大阪総領事のX投稿が物議を醸している。この投稿は、中国が台湾を攻撃した場合、日本は「存立危機」となる、と答えた高市首相の国会での安全保障に関する答弁を受けたものだ。

 外務省の金井正彰アジア大洋州局長は18日、局長級協議のため中国外務省の劉勁松アジア局長と会った。その際、並んで立っている写真で劉局長が「ポケットに手を入れたまま立っている」としていかがなものかという議論も盛んだが、この日中の緊張関係を高めた張本人はX投稿した薛剣総領事だ。

 「斬首する」。これは高市早苗首相への露骨な脅迫である。だが、これは単なる暴言ではない。中国の対日プロパガンダ戦略の一端が、図らずも露呈した瞬間だった。

 古代中国に「指鹿為馬(しろくいば)」という故事がある。秦の趙高が鹿を「これは馬だ」と言い張り、真実を語る者を粛清した話だ。いま北京は、まさに同じことをしている。高市首相の現実的な安全保障論を「軍国主義」にすり替えているのだ。

■なぜ中国は高市発言に激怒したのか

 話の発端は単純だ。高市首相は「台湾有事は日本の存立危機事態になりうる」と述べた。当たり前の話である。

 考えてみてほしい。台湾は世界の半導体の6〜7割を生産している。TSMCだけで受託製造市場の64%を握る。最先端チップに至っては9割だ。さらに台湾海峡は日本のエネルギー輸送の生命線。ここを中国に押さえられたら、日本経済は窒息する。

 ところが中国の反応はどうだったか。環球時報は「危険な挑発」と罵った。外交官は日本大使を呼びつけた。そして冒頭の薛剣氏の脅迫である。

 なぜこれほど過剰に反応するのか。答えは簡単だ。高市首相が「戦略的に曖昧な外交態度をとる」という従来の日本の姿勢を捨てたからだ。この発言には現在の日本の世論が反映されている。2024年10月に実施された最新の内閣府調査では、中国に「親しみを感じない」が過去最高の約85%に達している。

■4つの狙いを読み解く

 北京の狙いは明確に4つある。まずに、経済的な見せしめだ。2020年5月にオーストラリアが中国にコロナの原因調査を求めたら懲罰関税を課し、2021年12月にリトアニアが台湾代表部を認めたら税関システムから国名を削除した。

 最近では、2024年8月23日、日本の水産物輸入を全面停止し、その後日本産牛肉の検疫を突然厳格化した。そして、今回の高市首相発言を受けて、先日11月19日に中国は再び日本産水産物の輸入を停止した。

 加えて、中国の文化観光部はすでに対日旅行の注意喚起を出した。中国人観光客は日本のインバウンドの大きな柱であり、GDPの3〜5%を占める観光業への打撃は小さくない。

 第2の狙いは、高市政権の早期退陣だ。思い出してほしい。2006年から2012年、日本は6年で6人も首相が代わり、こういった政治的混乱を中国は歓迎していたのだ。中国にとって強いリーダーより、回転ドアのようにしょっちゅう変わる、力のない首相のほうが都合がいいのである。

 第3の目的は、東南アジア諸国との分断工作だ。「日本が軍国主義に回帰している」というプロパガンダで歴史問題を蒸し返し、日本と安全保障協力を深める国々にくさびを打ち込む算段だ。

 そして第4に、中国国内問題からの目くらましだ。いま中国は深刻な経済危機に直面している。若者の失業率は主要都市で20%超、不動産バブルは崩壊、地方政府の債務は限界に近い。反日を煽ることで国民の不満をそらすのは、中国共産党の常套手段なのだ。



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